第21話シアンを護る!

結界を修復しても直ぐに亀裂が入る。


シアンは?

声をかけたいけれど集中出来きなくなる。今は何とかして護らないと・・・。兎に角、話す余裕無しな俺。


はぁはぁと殺気の混ざった苦しい息遣いが背後から聞こえる。


怪我酷そうだ。何とかしなきゃ。

助けたい。

どうしよう・・・。



――護りたいなら唱えてごらん?――

脳内に響く声。

え?


――護りたいなら唱えてごらん?――

まただ。


唱えろ?

あぁ。そうか。これは四神の声だ。


異能発動。集中!!行ける筈!

「青龍、白虎、朱雀、玄武!我らを護りし結界を貼りたまえ!急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!」


――四神結界――



ふわふわの小さかった俺の四神達がバチバチ!!と轟音を上げて巨大化する。


そして・・・。ドン!ドン!ドン!ドン!俺とシアンを護るように四神が柱になり4つ立った。スクエア状の結界。


「くそ!何だこの結界!!」

リュートが再び斬りかかったがバチッ!!と激しい音がして彼は吹っ飛んだ。

見えない電気の通った有刺鉄線の様な物か?

俺には結界見えるんだけど。光を放っていてそれは雷を纏った様だ。


よし、いける!

「シアン!!」

振り返るとシアンは安心したのかガクッと片膝を付いた。

「出血酷いな。」

一先ず

「六根清浄、六根清浄、シアンの傷を修復せよ。急急如律令!」

フワリとベールを貼るようにシアンの傷からの出血は止まった。


「クソ・・・。護る予定がこのザマか。ありがとう。」

シアンの顔に笑顔が戻り俺の頭をポンと叩いて立ち上がった。

「動ける?」

「大丈夫。まだ殺れる。」

全く困った奴だ。


その時ザザッと翻訳機にノイズが走った。


ボス・・。俺も聞こえないんだけど!!

シアンは耳元で

「撤退だってさ。」

とボソボソと通訳してくれた。


「しかし、こいつは何とかしないとね。」


「シアン!助けに来たよ!」

バニラさんとハーミット様が異能を発動させる。

「助かった!」

シアンはデバフのかけられたリュートに異能を発動させる。


――拘束――


何度かシアンはこの異能を使っていたが力で縄をぶち切っていたリュート。やっぱり強過ぎる主人公だ。

今回は成功した!!手足を縛られて倒れる。

「あー!!クソ!!解けー!」


リュートが喚く中、俺達は脱出へ向かう。


他の警察官達であと生き残っている奴は1人いたが即座に追えそうでは無さそうだ。


セフォルトファミリーが開けた正面玄関から外へ走る。


多分、今ならまだ大丈夫。


「ミッション成功。急ぐぞ!」

ボスの掛け声に皆はニヤリと笑い走る。


小型機までの場所は遠い。アジトとは逆方向の郊外。もう家も無くなって草原が広がっているがもう少し先らしい。草原の先の雑木林の向こう?あと少しか。


その時・・・。空からゴゴゴゴゴと音が聞こえて来た。

「残念!お出ましだ。」

ボスが苦笑いしている。


戦闘機3000A!?2人乗りな様で操縦者ともう1人横に乗っている奴が見えた。こいつか?


「想定内だ。隠れる場所も無いし。腹括って殺るか!」

ボスがそう叫ぶ。


低空飛行をし戦闘機はこちらを煽る。


ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

戦闘機から銃弾が乱射される。


――結界都合のいい男――


銃弾クソ重い!!修復!修復!

「俺とミナキ、バックスレー、ウェン、ジハード。残ろうか。」

ボスが結界内でそう言った。


「後は宝石持って逃げろ。大丈夫だ。」


「俺もまだ殺れるけど?」

シアンが不満そうに言うが無茶だよ。回復かけたけれどまだまだ戦える程は回復していない。


「無理するな。あの一番強い警察官相手にお前は良くやった。回復しろ。」

ボスはシアンを宥めている。シアンはフフっと笑い了解と言った。

良かった。


「で?どうやって逃がすの?」

俺達の上空を旋回する戦闘機。ウェンが苦い顔で聞いた。


「ディードさん戦闘機を!!小さく出来ませんか?!」

ディードさんはうーん?と首を傾げる。


「周りのシールドを破壊してくれたら出来るんだけど。」

シールド?!目を凝らして見ると戦闘機にも結界みたいな物が張られている。


「貴重だろ?防御系異能者。」

ハーミット様が俺の肩をポンと叩く。そうか。あの操縦者が。


そうこうしているうちに戦闘機のハッチが開き男性がストッと結界の前に降り立った。


「やあ!カプリスの皆さん。」

ニヤリと笑う男性。


「甘いね。戦闘機が来るとは思って居なかった?全くリュートから連絡が来た時は驚いたよ。あっ。俺はさっきの警察官の1人の相棒ね。政府組織のエリート異能者オーガだよ。」


茶髪にしてるけど日本人だ・・・。

ピアス、唇にもピアス・・。良く喋る男だな。


その時、俺の結界が吹き飛ぶんじゃないかというくらいの殺気混じりの突風が吹き荒れた。


「クッッ!!」

思わずガードする。肌に痛い程ビリビリとくる殺気。


「後で説明する。」

そう呟いてボスは会話を始めた。

ザザッ!!ノイズ。

納得したのか皆、頷いた。


「全く厄介な異能だね。」

オーガは剣を構えていた。日本刀オーガモデルか!


「1分持ちこたえろ。」

ボスは俺にそう言った。


「了解!!」

先に小型機へ向かう組と戦闘組と端々に分かれた。


神経を集中させて結界を固める。


「おーりゃー!!!」

オーガの第一刀は重たく俺の身体にまで響く。


ピシッ!!!もう亀裂が!

やっぱり強いよ!!


――やっぱり勝つなら私達の出番でしょう?――

脳内に響く声。

そうだね!!俺の四神達!!


――四神結界!!――


今度は全員を護る広範囲の柱が立つ。

さっきはこれで完全ガード出来た。今度は?


「うーん?なかなか頑丈そうな結界。欲しいな政府に?」

オーガと目が合った。ニヤっと笑い再び斬りかかった。


亀裂こそ入らないが結界に吹き飛ばされる事も無くオーガは平気そうに更に剣を構えた。

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