第3章 エバーステイ博物館ミッション

第19話仮アジト集合

暫く滞在していたシアンと俺以外のメンバーは大型のキャリーケース持参で集合していた。


「お揃いじゃん。似合うぜ!」

ラズは軍服に身を包みそう言ってくれた。


俺はウェンの武闘着の赤。ウェンは黒。靴はこれしかないのでシアンが買ってくれたスニーカーだ。何か色々と申し訳ない。


バックスレーさんは本当にラガーマンっぽいよなあ。ラフなTシャツとハーフパンツ。ニュージーランドの「ハカ」とかやったら似合うだろなあ。

ハーミット様は黒一色。普段も同じ。


エルーカさんはスリットの入ったチャイナドレス。バニラさんはパーカーとホットパンツ。本当に男性ファンをメロメロにする衣装なのだが俺は・・・やっぱり男性陣に目が行く。


ボスはB系がカッコいい!

ジハード様はグレースーツ似合う!!

ディードさんはビジュアル系、顔に合うんだよね。

そしてシアンはロック系なのだ。革ジャン似合う。

「ミナキ・・・。」

ウェンが苦笑する。多分、俺のオーラ見てるんだろう。

「ごめん。皆、似合うしお洒落だから。」

ボソボソと言い訳。本当に個性豊か。


「荷物は俺の所に。」

ディードさんが言うと皆宜しくと荷物を渡す。

彼の異能って無生物の小型化そして元に戻す。キャリーケースはディードさんのポケットへ。便利だけど謎過ぎる異能の1つだ。



「やあ。いよいよ決行だよ。」

ボスが嬉しそうに集合と声をかけた。


「概要。0時博物館襲撃。戦闘含めて20分で片付ける。」

皆、そこはもう共有事項なのだろう頷いている。


「ボス。俺はミナキと組む。」

ウェンがそう宣言した。


「そう思ってラズとウェンに修行をお願いしたつもりだ。ウェンの異能にミナキは相性が良い。」

ホッとした。ボスがそう言うのならこのままいけそうだし。


「ふーん?俺が護る約束したんだけど?」

シアンがニヤリと笑ってこちらを見た。


「シアンが守りに回るのは勿体ないから却下。暴れ回ってくれ。」

ボスがそう言うと仕方ないなあと満更でもないようにシアンは大人しく引き下がった。

良かった。またしてもホッとした。


「はいはい。次、盗み後の集合場所はエバーステイ郊外ね。小型機チャーターしてるから。」

飛行機で国外逃亡するのか。なるほど。

ボスは俺には誰かに着いて行けと言ってる。そこの所ボスらしいと言うか。


そして侵入経路の発表。

紙にきっちりと見取り図が書かれていた。

博物館は二階建て。展示は1階。

勿論、正面玄関には夜中であっても警備員常駐。中も常に警備員がウロウロ巡回している。


「警備員は全員、異能者だったわ。異世界人は無し。」

バニラさんがこの2日間の報告をする。

「2階非常口2箇所が潜入する場所としてはお勧めかな。やはり2階は警備員少ないし。」

ディードさんが見取り図を指さす。


「後、今日から警察官が1人は常駐するわ。こいつは異世界人。今朝展示会開始後の情報ね。」

朝からも2人は内部調査に向かったらしい。


「置いてる物がお高いからね。」

ボスはクスクスと笑う。


「さて、マフィアは?」

ボスはニヤリと笑ってシアンとジハード様を見た。

シアンとジハード様は目を合わせてニヤっとして報告に入った。

「下っ端は結構、殺ったよ。中にも潜入出来たし。」

シアンがそう答えるとジハード様が詳しく説明を始めた。

「奴らの狙いもピジョンブランのネックレス。アルージャのハッキング通り決行日時はうちと一緒です。見事に鉢合わせしますね。」

何故か嬉しそう・・・。


「普通に考えたら早く行動した方が良いんじゃないの?」

ウェンにコソコソと尋ねる。


「宝石の奪い合いにはなるが警察のマークは分散する。」

そうか。マフィアより異世界人の方がやはり厄介なのかな。


「ミナキ、大丈夫だよ。セフォルトファミリーの異能者は警察より弱いから。」

ジハード様が聞こえていたのかニッコリ笑ってそう言ってくれた。


「そうか。マフィアは囮なんですね!」

うんうん。確かにセフォルトファミリーって記憶に無いし。


「ご名答だよ。上手く利用しようね。」

ボスは俺の意見に御満悦な様だ。



「じゃあ、俺からも1つ良いかな?」

ハーミット様が手を上げた。

昼間にハッキングで見つけた戦闘機。


「こいつは・・・。まじか。」

ボスが苦い顔をしている。


「もしもを想定して戦える気持ちだけでも持って置いて欲しい。」

ハーミット様の意見に皆、頷き真剣な表情だ。


想定内と想定外はいざと言う時の反応が変わる。

これで多分、バックスレーさんを護れる筈。本当に多分だけれども。


6年?5年前なのかな。俺も必死で記憶を辿っている。

戦闘機から政府の主人公が飛び降りて来るから戦闘機と主人公相手に大変な感じだったよなあ。


主人公どんな奴なんだろう。変な感じ。これから彼等と戦うって言うのが未だに信じられない。


「良し、この戦闘機を想定内に入れる。仕事は15分で切り上げる。そして、ミナキは確実に全員の居場所を把握。1人も欠ける事無く郊外に集合!!」

ボスが行こうか!と立ち上がる。


俺のカプリス初仕事だ。


仮アジトを出る。

「博物館裏手に一先ず集合ね。」

ボスの声掛けで皆、バラバラで博物館へ向かう。

こう言う感じになるのか。

俺もウェンとラズと共に壁から屋根に登ってそのまま街の中心地へ。


屋根からビルへ。

「こんなに都会だったんだ。」

ビルの屋上から街を眺める。東京程では無いけれど夜中なのに人も居るし。ネオンで街はキラキラしていた。

「博物館はあそこ。」

ウェンが指さす。

「行くぞ!」

ラズが隣のビルへ飛び移る。ウェンと俺も。


そして博物館裏手へ着いた。

ピンッと張り詰めた空気。勿論、皆、無言。


「来たよ。セフォルトファミリー。」

気配を察知したボスが小声で俺に伝えて来た。

俺も集中したら解った。奴らは正面突破するのか。

そして俺達も二手に分かれて2階非常口へ。


ミッション開始!

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