第18話下準備
朝、カップ麺を啜る音が聞こえてきて少しずつ目が覚めて来た。そして目を開けなくてもラズにバックスレーさんが来てるのが解った。そして俺はウェンと抱き合って寝ている。
見られたね。こりゃ。
いやいや、ウェン抱き付き過ぎ。朝から心臓に悪いよ。
「ん?また朝飯か?」
先にウェンが起きた。
「おー!いただいてるぜ。しかし仲良しだなあ。」
ラズは何とも思わないのかな?
「ガハハ!!ラブラブな感じで良く寝てたぞ!」
バックスレーさんそれ恥ずかしい。
「寝心地良いんだよね。ほら、起きな。」
何も否定せずそして誰も何とも思わないのか?!そう思いつつシラっと起きる。
「おはようございます。」
2人ともおはよう!とテンション高い。
彼等の感覚が俺とは違うのかなあ。
まあ、良いか。大丈夫ならこのまま仲良くしたいし。
トイレに行って先に顔を洗って。良し完全に目覚めた!今夜、正確には明日一か。いよいよ決行。
「レンジ借りるね。」
ロールパン温めると美味しいし。
テーブルには珈琲が入れてあって本当に皆、優しいよなあと思う。
「昨日、ミナキと話したんだけど疲れ過ぎたらミッションに影響出ると思うんだよね。」
ウェンが夜に向けて温存した方が良いかな?と話し始めた。
「そうだなあ。途中で気力無くなったら異能発動出来なくなるしな。」
ラズがうんうんと頷く。
「俺は底なしだけどなー!!」
バックスレーさんは永遠に戦えそう。でも、お前は食わないと動けなくなる癖にと突っ込みを入れられているけど。
「エルーカに武器でも作って貰うか?」
ラズが提案。
「武器?あー。確かに素手だ。」
エルーカさんは武器職人の異能者だったな。
「すげーぞー!エルーカは本人に合った物を作るからなー!」
自慢げにバックスレーさんは語るがバックスレーさんは素手な筈・・・。
「バックスレーさんは?」
一応聞いてみよう。
「俺のはこれ。異能力コントローラー。異能を抑える所は抑えて出す時は出す感じ?」
え?ただのバングルじゃなかったんだ?お洒落かと思っていた。
「バックスレーは日常生活で良く物を破壊したから。」
ウェンが苦笑していた。
「こいつアジトの便座も壊したからなー。」
ラズがゲラゲラと笑いだした。俺もちょっと想像して笑ってしまった。
朝ご飯後にラズがエルーカさんにメールをしてくれて直ぐに行ける事になった。
流石に女性の部屋には直では押しかけないらしい。皆、紳士的だ。
ピンポーン。インターホンあったんだ。 ウェンの部屋にはピッキングで侵入されてばかりだったのに。
そこが男女の差なのか仲良し度合いなのかな?
「いらっしゃい。」
入ってと部屋に通してくれた。
「武器でしょ?注文通り作ってあるわよ。」
ラズの銃!そうだ何か剣に違和感があったんだけどこれかぁ。ラズは軍服に銃!そうそう。
「おー!サンキュー!やっぱりこれだよなあ。」
「ウェンは剣。バックスレーからは頼まれて無いわね。」
ウェンの剣は前と変わらない感じ。
「で、ミナキに何か作ってくれ!」
ラズがお願いしてくれた。
「あら。何も無かったのね。ちょっと待ってね。」
エルーカさんはニッコリ微笑んで俺の手を取った。
――
「うーん?これが武器なのかしら?」
エルーカさんがめちゃくちゃ複雑な顔をしてでも間違った事無いのよね。と言って手を離した。
「何が出来るんだ?」
ラズの方がワクワクしている。
エルーカさんの異能が更に発動する。うわー!本当に武器が出来る瞬間!!まじで漫画みたい!
「かなり簡単過ぎたんだけど?本当にこれよね?」
「紙だな。」
「どう見ても紙。」
ラズとウェンも首を捻っている。
「
メモ帳みたいな形代を受け取る。形代は人型の
こんなメモ帳状態のって初めて見たんだけど。1枚捲って右手の人差し指と中指に挟む。
気を集中して結界を貼る時みたいな感じで異能を発動。
多分これでいける筈。形代がぽっと光って見事に俺が出来た。
生気の無さそうな俺。
「えー!?何だこれ?」
「えーと。身代わり。簡単に言うと。」
皆、とっても興味津々で形代の俺に触れている。特に動かない形代の俺。 せめて動けよ。
もっと練習したら使える様になるのかなあ?
「もしかしてこれを身代わりに逃げるのか?」
「多分・・・。」
お前らしいよ。ラズにぽんと肩を叩かれる。
「いっぱい出せば誤魔化せるかなあ?」
ウェンもちょっと苦笑してるし。
バックスレーさんとエルーカさんは爆笑してるし。
「俺、まじで戦闘に向いてない・・・。」
でも、何もないよりましか。
「皆で倒すから大丈夫よ。貴方は結界に集中しなさい。」
エルーカさんが優しい。
形代の俺は俺の意思で消す事は出来た。後は攻撃受けたら消えるのかな?今は使えそうに無いなあ。
武器?も手に入れたし次はハーミット様の元へ行く。
「本当に全員このマンションに居るんだなあ。」
変な感じ。
しかも皆、気配隠してるし。そう言うの本当に凄いと思う。
「アルージャ!入るぞー!」
リアルピッキングを初めて見た。て言うかインターホン押せば良いのに。
部屋に入ると暗い。
電気も付けずにパソコンと向き合うハーミット様・・・。ちょっと怖い。
カタカタとパソコン操作音だけの部屋。
ラズが電気を付けると眩しそうな顔で
「何?」
と聞いてきたがハーミット様は画面からは目は離さない。
「まだ新情報ありそうなの?」
「ふぅー。解らないから張り込みしてる。」
ハーミット様と目が合うとニヤっとされた。
「おぉ。来たかミナキ。良かったよ。すっかりカプリスに馴染んでくれて。」
「あの時はちょっと解らなかったけれどカプリス居心地良いです。」
「そっか。会ったんだったな。」
ウェンがなるほどと言う。
「で?何しに?」
またパソコンを弄り始めたハーミット様に見取り図もう1回見せてやってくれとラズが頼んでくれた。
「OK。それ大事だしね。」
「中断させてすみません。ハーミット様。」
「うわー。また様かよ。ミナキ、呼び捨てな!」
ラズが頭をグリグリしてきて痛い。
「俺はその呼ばれ方好きだなあ!まあ、好きに呼んでくれ。」
クスクス笑いながらパソコン画面を見せてくれた。
「目的の高級品の展示場所って解りますか?」
そう言うと赤でさっとマーカーしてくれた。やっぱりメインの3点は真ん中に1点。両端にと離れた位置だ。
「監視カメラは?」
聞くと
「へー。結構心得てるね。」
ハーミット様はニヤっと笑って教えてくれた。
「でも、もう入ったら無視だよ。」
「時間勝負。」
ウェンもフフっと笑う。
確かに隠れてコソコソやらないのがカプリスだ!
警備員は異能者だった筈。そして直ぐに警察登場。そいつが主人公。
えーと。カプリスは2点の目的物はゲットしたと思うからあと1点盗めたら・・・。勝ちだな。
自分もすっかりカプリスだな。
「ありがとうございます。何か掴めた気がします!」
「うんうん。ミナキは良い子だね。」
ハーミット様は満足そうにまたハッキングを始めた。
「アルージャ。政府は本当に動かないのか?」
ラズが聞く。多分、俺がバックスレーさんの事を話したならだろう。
「ん?政府は来ない。なんだ?勘か?」
「うん。こいつの勘だ。」
バックスレーさんが俺の頭をポンポンと叩く。
「・・・。解った。今からハッキング開始する。」
何か思う所があるのかハーミット様は政府へのハッキングを開始した。
――
本当にアクセスする時は異能を使うんだな。
そして早い。バレないし。
「こいつは驚いた。新型兵器が完成している。」
ハーミット様が苦笑した。
「昨日まで無かった情報だ。お前の異能か?予言みたいな感じかな?」
そう聞かれたので一瞬だけ見えたと伝えた。
「やはりミナキはカプリスに必要不可欠。シアンに殺されないようにしないとな。」
ハーミット様の顔が怖い。
「で?新型兵器は?」
痺れを切らした様にバックスレーさんが尋ねる。
「戦闘機3000A。政府本拠地からエバーステイまで15分弱?で到着ってところだな。」
「はっや!!そりゃ出動命令されたら時間殆ど無いな。」
これだ多分。命こそ落とさなかったけどバックスレーさんが殆ど登場しなくなる原因。
その後、もしもの対応を相談しきっちり晩御飯を食べて着替えも済ませていよいよ仮アジトへの集合時間となった。
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