第7話シアンに再び迫られて・・・
「腹減ったー!!」
どのくらい寝てたのか解らないが猛烈な空腹で目が覚めた。
「あと3日で1週間。」
呆れた様にシアンがそう言った。ダイニングテーブルでテレビ鑑賞中だった様だ。
えっとハーミットが来たのが1日目?2日目の明け方か。
「そんなに寝てた!?」
ハーミットも部屋には居なかった。
「寝てたよ。おかげで性欲が爆発しそう。」
うっ。。返答に困る。この人まだやる気なんだ。
「取り敢えず何かしら食べなきゃね。」
シアンはニヤっと笑って台所へ入って行った。
そういう所は優しいんだよなあ。
寝てる間も襲われた感じしないし。ちょっと意外だった気もする。
あれ?何だこれ?
「ねえ。シアン。これ?見える?」
俺の頭の上を指差す。
「見えない。いやちょっと待て。」
シアンは集中する様に俺を見詰めた。
小さい龍と鳥と亀と虎?
あっ・・・。
「四神だ。四聖獣とも言うんですよ。青龍、白虎、朱雀、玄武。」
本当に小さくて妖精の様な四神は俺の頭の上でフワフワと浮いていた。
「居るね。へー?本当に珍しい見た事無い能力だ。」
どう言う能力なんだろう。
四神は俺の意思で消せた。そして出せる。
まあ、そのうち解るか。取り敢えず四神は消してご飯だ!!!
「悪いがまたレンジでチンするメニューだよ。」
シアンがそう言って出してきたのは炒飯だ。
米!!そして炒飯あるんだぁ。
「ありがとう!!」
もうめちゃくちゃ腹減って仕方なかった。
美味い!良くある冷凍炒飯の味と変わらない。
この世界の食生活は良いな。変な食べ物の文化じゃないし。
あっという間に平らげた。
「まだ食べる?」
「まだ入る!けれど一先ず風呂に入りたい。」
4日も風呂に入っていないなんてちょっと失礼だろう。
「流石に臭そうだし。」
「別に臭くないよ?異世界人の匂いは少し減ったね。」
そう言いながら風呂へ案内してくれた。
シャワーしかないそうだが十分だ。
これ着替えね。
わざわざ用意してくれたんだ。
脱衣場には新しい下着と服があった。
ちょっと絆されそうな自分が居る。シアン、優しい・・。
風呂はビジネスホテルくらいの風呂で確かにシャワーしかなかった。
でも、気持ち良い。ボディーソープもシャンプーもリンスもあるし。快適じゃないか!
身体を洗いながら思う。やっぱり身体つき変わったよな?記憶は戻って居ないが腹筋や胸筋、二の腕とかこんなに筋肉ついて無かった。
細マッチョって言葉が似合う体型になっている。
風呂を堪能して用意された着替えを着た。Tシャツと動きやすいチノパン。無地で良い感じ。
部屋着でも外でも行ける。
ふと鏡に目がいく。そう言えば久しぶりに鏡を見た気がする。
うーん?モテる顔では無いよなあ?普通。
シアンの俺に対して欲情する意味が解らない。色気も無いぞ。
「お風呂ありがとう。」
リビングに戻るとテレビは消されていて。
シアンがフフっと微笑んで立ち上がって此方に来た。
「おいで。」
スっと引き寄せられて抱き締められる。
クンクンと俺の匂いを嗅ぎ始めた。くすぐったい。
「本当に微かになってきた。もう少しだね?」
「うん。あと3日だ。シアン。くすぐったいって。」
抱き締めたままサラサラと俺の髪を撫でてまた匂いを嗅ぐ。
「もう、離して。言っただろ?」
「好きと言う感情か?」
そうそうと頷いた。
シアンは難しそうな顔をする。
「でも。俺は君を襲いたい。」
また抱き締められた。
このまま拒み続けられるのかな。
もう縛られて無理矢理ってのはごめんだし。
さっき風呂で考えて居た事がある。
これは仕方ないと言うか俺が生きる為。
それで体を差し出す様で嫌なんだけれど。
決して俺はビッチじゃない!!何もかも初めてだし!
俺は抱かれたいの?
嫌、仕方なく?
快楽に負けて?
本当はまだ自分のこの芽生えた感情が解らない。
別にシアンを好きでは無いと思う。
と言うか何か・・・。俺、忘れている。
大事な何か。
1週間目に思い出せるのかなあ。
どうする?今のこの状況・・・。
「シアン。条件がある。飲める?」
「何?」
抱き締めたまま俺を撫でて聞いてくる。
「ハーミットって人に聞いた。俺は誰か一緒に居ないと自分の身も護れないって。だから・・。」
誰かに助けてもらわないとこの世界ではきっと生きていけない。
カプリスの人達が助けてくれるのか?
解らない。
「確かにそうだねぇ。」
シアンはフフっと耳元で囁いた。
「護って欲しいんだ?」
俺は静かに頷いた。
「いいよ。それが条件なら。」
シアンは嬉しそうに顔を近付けて来た。
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