第4話
白い世界が広がり、誰かが僕を呼んでいるようなそんな気がする。
あれ? さっき寝たような気がしたんだけど……。
「真冬、やっとだね! やっと会えたよー!」
そんな感じで心の中で思っていると、突然体に何かがぶつかるという小さな衝撃が走ってきた。
やはり、僕の事を呼んでいたようだ。
衝撃を直に感じたお腹辺りを見ると、そこには、小さな少女が抱きついていたのだ。
「えーっと、君は誰なのかな? というか、僕ってさっき眠ったはずなんだけどな」
そう言って、僕は困った顔をする。
んー、でも何だろう。さっきまであんなに眠かったのに今はそんなに眠くない。逆に、ちょっとだけだが気分が良いように感じるな。
だけど、これって夢の中なんだろうか。
そう思ってしまった僕は頬を強くつねってみた。
が、
あんまり痛くはなった。
――くわぁぁ~~
そのすぐ後に僕は大きな欠伸をして、手で目をこする。
あ……、普通に眠かったわ。
「あ、わたしは、シイ。真冬の中にいる、女神みたいな感じだけど真冬の守護女神みたいな感じでもあるんです」
そう思いながらそんなことをしていると、僕に抱きついていた少女、シイは上を見上げ抱きついたままニコッと笑顔をしてそう言ってきた。
シイは僕に抱きつきながらも上を方へ登ろうと、ジャンプする。
「それで、……シイ、様? えーっと、なんで僕はここにいるの? 絶対に寝たって思ったんだけど」
疑問形で聞きながらも最後には疑問形にせずに僕は聞いた。
すると、必死になって僕を木のようにして上に登ってきたシイは、
「んー、真冬、わたしの事はシイって呼んで! それと真冬は今もベッドの上で寝てるよ、ここは夢の中だもん。それに、ほらっ」
そう言ってきた。
その瞬間僕の目の前に一枚?の透明な画面が現れた。それを見ていると、ふいに画面の電源的なのが付いて、
「本当だ寝てる! それも気持ちよさそうに」
そこに映っていたのは、召喚された異世界の城の自室で気持ちよさそうに寝ている自分の姿だったのだ。
それに、そんなに気持ちが良いのかよだれを垂らしながら良い顔だった。
「ね!言った通りでしょ」
シイはそう言って再びニコっと女の子らしいかわいい笑顔を作った。
僕は、自分に抱きついているシイを見て下ろそうかな、と一瞬心の中でそう思ってしまったのだが、そんなことをするのがめんどくなり止めた。
それにほら、こんなかわいい笑顔をしているシイを下ろすのはどうかなって思ったんだよね。と、もう一つ理由はあるんだけど、シイを両手で抱えてるんだけど――全くきつくないし疲れてないからなんだよ。
「そうだね。シイの言った通りだったよ。それで、聞きたいことがあるんだけど、夢の中ってどういうこと?」
僕はそう言うと、疑問に思った事をシイに聞くことにした。
そもそも夢の中って言われても、それが本当の事かなんて実際わからない。まあ、画面に映っている自分僕を見る限りシイが言っていることは本当の事なんだろう。
「えーっと、んー、なんていえば分かりやすく伝わるんだろう。……、あ! えっと、ここは夢の中というよりは、わたしと真冬二人だけの特別な空間なんだと思う? まあー、わたしでも簡単には説明できないけど、手っ取り早く夢の中ってことにしてね、真冬!」
シイは疑問形になりながらも言ってきた。その時、動きながら言ってきたがその動きがとてもかわいかった。
んー、シイですらここがどこなのかわからないのか。なら、これ以上考えてもわからないしめんどくさいな。
考えることがめんどくさい、そう感じた僕はそう思った。
「それじゃあ、真冬。これからわたしが知ってることを全て話すね」
そう口にしたシイは、知っていることを話始めるのだった。
僕とシイが話し始めてしばらく。
その話の中で少し分かった事がある。
それは、シイがこの異世界の神ではないという事実だった。と、いっても、召喚される前に僕が住んでいた日本の世界の神でもないらしい。
まあ、シイに聞いた話をそのまま言うと、『女神みたいな感じだけど、真冬の守護女神みたいな感じでもあるよ!』ということだ。
ちなみに、そう僕に説明をしてきたシイですら自分の存在がどういうものなのかわからないらしい。
「真冬、それでね。真冬たちがこの異世界に召喚された理由は一つだけじゃないんだよ」
シイはそう言って僕にくっついてくる。
そんな僕は、どんな理由かを予想したかのように、
「やっぱりね」
そう口にした。
すると、その発言を聞いていたシイが、
「分かってるんだね、真冬は。なら、どんな理由か言ってみて」
可愛らしいポーズを決めてそう言ってきた。
「それは、僕以外の人たちが村を魔人族から救いその功績を自分の国のモノにする。そしてその功績を使って他の人間族側の国など偉い人たちを従わせた後で次は魔人族たちが住んでいる《魔人大陸》に乗り込み、圧倒的な強さを見せつけて従わせる。みたいな感じかな? まっ、人間たちのことだからどうせ魔人族たちを遊び道具として扱うんじゃないかな?」
長々と僕は予想をしていた事をシイに話した。
まあ、最後ら辺は、ただ適当に付け加えて言ってみたけどね。
「さすがわたしが好きになった真冬! 言った事全部合ってるよ!」
と、そんなことを思っていた僕の耳にシイのその声が入ってきた。
そしてぎゅうっと、僕に抱きついてくる。
――かわいいな。
とりあえずそう思った。
「まあー、真冬ー、とりあえずその事については置いといて。先にわたしの事をちゃんと真冬に言わないといけないとだね」
するとシイは、そう言って突然テレビの撮影などで使用されるカンペを出した。それもどこから出したのかわからないカンペを。
僕はシイが持っているカンペに書いてある文を読んでみる。
そこに書いてあったのは、『わたしと真冬は、心と体が一体化しています。それにわたしは、夢の中の存在じゃなくて夢から覚めても真冬と一緒に居られるように実体化出来るよ!』という事だった。
へぇ~、僕とシイって一体化してるんだ。……一体化?
「……一体化!?」
時間が経つことである部分のあることに気が付いた僕は、ビックリした声を上げた。
それを聞いていたシイは、
「はい、わたしは大好きな真冬と一体化してるんです! 私にとってどれだけ嬉しいことか」
そう口にするとともに、僕への愛を示すかのように再びぎゅうっと抱きついてきた。
「真冬!真冬! 今の状況じゃわたしは―――――――――、――――――――――――――――!」
「シイ何て言ってるの? 聞こえないんだけど」
シイの口が開くも僕の耳には最初の方しか聞こえなく、最後の方は耳に雑音が鳴って聞こえなかった。なので僕はそう聞いた。
するとシイは「え?」みたいな顔をして、
「そういう――――! それじゃ、――あとで――」
そう言って、また抱きついてきた。
その瞬間視界にいたシイが消え、意識がぶっ飛んだ。
『じゃあ、真冬、頑張ってね!』
そして僕が最後に聞いたのは、直接脳内に語り掛けてきたシイの声だった。
僕はその声に「うん!」と強くうなずいた。
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