第2話

 現在僕の目の前には、金色といろいろな宝石の付いた王冠を頭に被っている六十代後半だろうと思える男性が玉座らしきものに座っていた。ついでに赤色のマントを背中から生やしている(笑)。


 あ、別にマントしてるから笑ってしまった訳じゃないんだけど(笑)。ほんとだよ(笑)。


 それと、この世界についての話を聞いたのだが――、

 この世界には人間以外にも色々な種族が存在し生活をしている。その他にも魔物という、人間などといった色んな種族を糧にしたり同じ魔物同士でも戦って負けた方は勝った方の糧になる。

 そういう世界らしい。

 それでなんで僕たちがこの世界に召喚されたのかというと、少し前の話になるのだが、魔人族とかいう人間族と一番敵対している種族が魔物を戦争奴隷に使ってきたらしい。圧倒的な魔物の軍団の力により壊滅状態になってしまった人間族の国、その国は敗北を認め撤退。その後、魔人族が暮らす大陸国から一番近い人間族の大陸国の小さなだが、村の人たちが奴隷として扱われてしまった。という報告を受けたのだという。

 その報告を受け人間族は大規模な会議を開き、異世界から自分たちとは違う存在を召喚させるという禁断の手を使う、ということいになったのだと。


 まあ、この話を簡単にまとめてみると、

 魔人族によって奴隷扱いを受けている村を救ってほしい。

 という事である。


 僕は考えた。

 ――めんどくさくね? 


 いや、だってこの国の為に命張ってくれって事でしょ。

 いやだよ、そんなの。めんどくさい!


 と、僕は話を聞いていく中でそう思ってしまったのだけど、クラスメイトたちはどうせ『分かりました』とか言ってたりするんだよな。特に……名前が出てこん。まあ、いいか。


 まあー、そんなわけだから、一応は、うなずくことにした。


 「まあ、みんながそうしているのであれば、僕もそうするしかないですしね。分かりました」


 そう言って、王様のこの国救ってください行動は幕を閉じた。


 ま、めんどくさいから僕は何もしないのだけれど。

 それと、王様と話して思ったのだが、まだ何か隠してそうだった。


 そういえば、この展開今まで読んできたラノベでもこういう設定あったよな。と、最後にそう思ったのであった。



 それからしばらくして次は僕の異世界でのステータスを調べることになった。

 場所は先程と同じところだが、王様は仕事があるそうでどっかに行ってしまった。そしてその場に残ったのは、僕とここまで一緒に来た、姫・キーラ様の二人だけだ。


 「それでは、シズクイ様。ステータスについて説明させていただきます」


 話によると、

 ステータスとはその人の『能力値』を『数値化』していたり、他にもその人が持っている『固有ユニークスキル』や『普通ノーマルスキルなどが記されているものである。

 主に数値化されているのは、能力値である攻撃力や防御力などといった戦闘するうえで大切なものだ。他にも、自分のjobが記されている。

 それと、これが一番大事なことらしいのだが、

 攻撃力が50あると『英雄』と言われ、30あると『勇者』、まあ、25くらいあればこの世界では普通に生きていけるらしい。


 それと、これから言うのはクラスメイトたちのステータスに記されていた能力値なのだが、最高で20、最低でも15か13はあったらしい。


 というわけで、僕は自分のステータスが気になり心の中で『ステータス』と、強く見たい、と思い唱える。


 すると、脳内に何かが浮かぶような感覚がして――

 ------

 シズクイ・マフユ  job:???

 レベル:1

 攻撃力:85

 防御力:65

 魔 力:53

 素早さ:68

 固有ユニークスキル:『jobマスター』『早熟』『経験値分配』『普通ノーマルスキル共有』『能力偽装』『威力調整』『魔法創造』『普通スキル創造』『クリエイト』

 普通ノーマルスキル:『転移』『錬成』『武具強化』『魔力感知』『探知』『隠密』『無音行動』『縮地』『鑑定』

 ------


 脳内に浮かんだ自分のステータスに、僕は、

 「・・・・・・」

 口を開いて無言になる。


 そんな僕を見たキーラ様が、

 「口を開いてどうされたんですか?」

 と、聞いてきた。


 「え!? あー、いや、まさか自分の『ステータス』の能力値が数値化されて見れる日が来るなんて思ってもいなかったから驚いてしまったんですよ」


 キーラ様の呼びかけにより自分が口を開いていたことに僕は気が付くと、慌てるように言う。


 まあ、今言った内容は嘘ではない。ないのだが、僕の能力値がどう考えてもおかしい。だって、さっき話を聞いた時にクラスメイトたちは20か15、それか13だったと言っていた。

 なのに僕の能力値は、最高で85。最低でも53、とある。


 おかしくないか?

 うん、絶対におかしいはずだ!


 んー、困ったなー。もし、そのままの数値を教えたら絶対に面倒なことになるよな。でも、嘘を言ったとして、僕のステータスを強引に確認でもしようとしてきたら……バレて面倒にしかならない。


 そう考えていると、キーラ様が口を開いた。


 「シズクイ様、ステータスの方はどうだったでしょうか」


 それを聞いた僕は肩をビクッとさせ、

 「あ、はい。僕のステータスも最高で13、最低で10でした」

 嘘の情報を口にした。


 だって、めんどくさがりの僕がわざわざ面倒な方に身を投げるわけがないじゃないか。

 だけど、本当に……どうしよう。


 嘘を言ってしまった以上、ステータスもどうにかしないといけない。だが、そのステータスを先程口にした数値にする方法が全くわからない。


 焦る僕は、一旦落ち着き、今まで読んできたラノベで『ステータス』が出てきた作品で主人公がしていた行動を思い返してみる。


 何冊か思い返していくうちに、五冊ほどラノベで出てきた主人公が同じ行動をしてステータスにあるスキルの説明を読んでいた。ということを思い出せた。


 と、いうわけで、僕は、ステータスにある『能力偽装』について知りたい!と、強く思うことにする。


 すると、突然、脳内に何かが浮かんできた。


 ------

 『能力偽装』

 ――能力偽装とは、自分のステータスにある、魔量~素早さまでの数値を偽装することが出来る。特にこのスキルは、勇者としてこの世界に召喚されてしまった人が『めんどくさいことはしたくない』というのであれば持ってこいのスキルである。

 ――数値の他にも、スキルを偽装することだって出来る。

 ※レベル:1の人は固有スキルを持っていない。普通スキルに関しても、一個か二個くらいしか持っていない。

 それと最後に、能力を偽装してもステータス上が偽装されてしまうだけなので、実際攻撃をしてみると本来の数値の力になってしまうので注意してください。

 あ、もう一つ、偽装したステータスを元に戻すときは、『能力偽装解除』と強く思ってください。

 ------


 おお~、これだったらいけるくないか。能力の偽装。というか、このスキル僕のためにあるんじゃないかな?


 そう思った僕は、早速使ってみることにした。

 ・・・・・・

 どうやって、使うんだろう。

 くそーっ、こんな時に限ってなんで使い方わからないんだよ!


 僕はどうやってスキルを使うか、もの凄く頭を悩ませた。


 すると、突然、

 『真冬、スキルを使うには、『使いたい!』っていう強い思いがいるんだよ』

 もの凄く悩んでいた僕の耳元で、そんな少女の小さな声が囁かれる。


 それもその声は、異世界に召喚される前に聞いた声と同じだったのだ。


 その声を聞いた瞬間僕は、目の前にいたキーラ様を見た。


 「あの、今何か言いませんでしたか?キーラ様」

 「え? 何も言ってないですよ、シズクイ様」

 「そうですか……」


 だが、返ってきたのは、違う、という意味の言葉だった。


 「どうかされたんですか?」

 「あ、いえ、なんでもないです」


 心配そうな顔で聞いてきたキーラ様に僕は慌ててそう言ってしまう。


 んー、異世界に召喚される直前に、あの時と同じ声が聞こえたから、キーラ様じゃないかなと思ったけど……そんなことあるわけが無いか。


 僕は首を振り、今考えていたことを忘れる。

 そして、固有スキル『能力偽装』を使いたいと、心の中で強く思う。

 すると、脳内に再びステータスが出てきた。しかし今回出てきたステータスは少し違うようだ。


 そう、今回脳内に出てきたステータスには、『偽装する能力は?』という項目?的な文章が追加されていた。


 『偽装する能力は?』か。

 何をどうすればいいかわからんけど、さっき脳内に出てきた『能力偽装』の説明を考えてみたら、僕のステータスにある、固有スキルや普通スキルの量は誰がどう見てもおかしいということ。まあ、数値化されている能力値も普通におかしいのだが……。


 と、まぁー、どうするべきかわからないまま迷っていてもどうすることもできないので、とりあえず、

 「(能力値の攻撃力の数値を85から12に偽装)」

 と、心の中でそう強く思った。


 すると、

 ――パッパラパー。

 ゲームでいうところのレベルが上がった時に鳴りそうなそんな効果音が脳内で鳴り響いた。


 一瞬僕は驚いたが、すぐに落ち着く。


 そこでふと、攻撃力の数値が変化していることに気が付いた。


 ------

 攻撃力:12 (85)

 ------


 おおっ! ちゃんと偽装?変更? まあ、どっちでもいいけど、変わってるよ! これで、何があってもバレないなー。


 それから僕は、キーラ様にステータスの結果を伝えながらひたすら『能力偽装』を使って能力の数値を偽装した。

 それと、忘れるところだった固有スキルと普通スキルの偽装もたくさんやった。


 そして現在、僕のステータスはこんな風になってしまったのだ。

 ------

 シズクイ・マフユ  job:???

 レベル:1

 攻撃力:12 (85)

 防御力:12 (65)

 魔 力:13 (53)

 素早さ:10 (68)

 固有スキル:『クリエイト』 (『jobマスター』『早熟』『経験値分配』『普通スキル共有』『能力偽装』『威力調整』『魔法創造』『普通スキル創造』)

 普通スキル:『錬成』『隠密』 (『転移』『武具強化』『魔力感知』『探知』『無音行動』『縮地』『鑑定』)

 ------


 ちなみに、『 』にあるスキルは『能力偽装』を使いながらもそのままにしているもので(『 』)にあるスキルは『能力偽装』を使い隠しているものである。

 数値化されている能力にある( )に記されている数値は本来のものであり、( )されていない数値は『能力偽装』を使って偽装した結果である。


 「シズクイ様のステータスは、この世界の住人よりも強いですが他の皆様と比べると少し弱いかもしれません。魔力に関してはとても良いんですが素早さが少し低いですね。しかしですね、固有スキルにある『クリエイト』に関しては、興味深いです。なのでこれから一週間は『クリエイト』の研究をしてみて下さい」

 「それに加えて、もう一つの助言を。普通スキルにある、『錬成』は憶測であるんですが『クリエイト』との相性はばっちりだと思います」


 キーラ様はその二つの事は言ってくる。ニコッとした笑顔で。


 「出来るだけ、努力したいと思います。この世界を、この国の人々を救えるように、僕はこの力を思うように使えるようにしたいと思いす!」


 そして僕に関しては、強い気持ちがあるかのようにそう口にする。


 それからしばらくの間、jobについての話をした。

 それと、キーラさまから聞いたこれから僕の人生に関わる話も聞いた。


 その後僕とキーラ様は別れ、僕はこの城の兵士さんに連れられて自室へ。キーラ様はこの部屋にやって来た、メイドのような人に連れられてどこかに行ってしまうのだった。

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