転生令嬢の警戒と疑惑。2
この近距離で先程の会話が聞こえないとすると、お兄様達のどちらかが………防音魔法か音声遮断魔法を音速で展開したんですかね。
だとしたらこの双子、相当のモンスターですよね??
お互いに微妙な空気だけど、それを無視して私は話題を変えました。
「えっと、ステータスを確認しなくちゃいけないんだよね? 今ここで確認しても大丈夫かな?」
「「「「やめて」」」」」
仲良く全員で拒否する面々をジト目で見つめました。
「そこは揃って否定するんだー」
「流石に家に帰ってからにしよ??」
「被害は最小限にしたいからね」
「それはジルード達に同意するよ」
ジルお兄様の言葉に、他の男性陣はうんうんと頷きました。
お母様は扇子で口元を隠しているので、表情は読み取れません。
……想定外の事態は起きましたが、必要最低限の情報だけしか漏れていないのである程度は大丈夫でしょう。
けど、この双子については今後とも要注意しなければなりませんね。
…さっさと本題を戻しましょうか。
「それで、家で確認した後、どうするの?」
どこか遠い目をしたお父様がニトおじ様を指差しながら、不機嫌そうに言いました。
「コイツと話し合って決める。…どっちに転んでも、ライラの能力はこの国を左右するだろうから」
「………………………」
その言葉に、私は顔を顰めました。
◇◇◇
結局、その後の話し合いは平行線で、そのままお開きになりました。
屋敷に戻り、今は食卓に家族全員集まっています。
今晩は私の好物だらけですが、今は誰も手を付けておりません。
お互い、緊迫とした雰囲気が流れています。
非常に気まずくて胃の辺りがきりきりと痛むような錯覚がします……。
ぎゅ、と服の裾を掴みました。
それと同時に、ゴクリと喉を鳴らしました。
は、早く食べたい……。
その気持ちのままに、口を開きかけました––––が。
ぐうぅ〜。
緊張感漂う沈黙の中、盛大に目立つその腑抜けた音は、見事にお腹が空いたモノでした。
勿論その音は私の腹の虫で、全員が一斉に私を見ました。
先程は全く違う気まずさに、いくら元騎士団長と言えども、手が物凄く震えました。
わた、私としたことが…何たる失態!?
あっ……どうしよう、完璧にやらかした。恥ずい、死ぬ程恥ずかしい!!
思わず顔が赤くなり、羞恥心故に涙が出てきました。
咄嗟に手で顔を隠すと、掠れた声で呟きました。
「えっと…あの…その、お腹が空いちゃって……ご、ごめんなさい……」
ぽろぽろと流れ落ちる涙を拭おうとする手を無視して、ヒクヒクと喉は鳴り続ける。
周りの顔を見るのが嫌になって、俯きながら目を再び擦ろうとすると、誰かが私の手を取りました。
「お嬢様、そのまま擦られますと目が腫れてしまいます。こちらをお使いくださいませ」
「マイナ……ありがとう」
「ありがたき幸せ」
私が赤ん坊の頃からお世話をしてくれるマイナは、私に上品そうなハンカチーフを渡しました。
その事に少し背中を押された私は、恐る恐る視線を移動しました。
なぜか皆さん、手で顔を覆って天を仰いでいました。
……どういうこと??
暫くして、料理に手を付けれたのはお父様の咳払いが聞こえた時でした。
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