騒乱の後に カイside
ライラの検定日は、やはり俺達の時とは違って、一波乱があった。
水晶が突如白く光り、ライラを神の所へ誘った。
前々から想定していた事態なので、俺とジルは
だが、父上達は勿論この事を想定していなかったから、大混乱に陥ってるだろう。
完全に目が血走っているからな。
ひとまずジルと目線を合わせると、俺は瞳の方に魔力を集中させた。
感覚で、瞳に変化が起きるのが分かった。
それはジルも同じで、瞳が微かに変化し、『リーベルタースの紋様』が浮かび上がっていた。
俺はその様子を見て、早速ジルへ話しかけた。
『どうする? お前が言っていた最悪の予感が見事に当たってるが』
『どうするもこうも、ライラは呑気に神々と話してるでしょ。というか、魔族の話とかで今頃盛り上がってるんじゃない?』
あっけらかんと返すジルに、内心思わず呆れた。
……お前なぁ、そんな事言ってるけど、今どーゆー状況だか分かってるよな?
本来なら、そんなのんびりと余裕ぶっこいてる暇はないんだからな。全く。
我が身内は、分かっているからこそ、こんなに余裕に振る舞えるのだ。タチが悪い。
とりあえずバレないために表向きな会話をし、ライラが戻ってくるまで大人しくする事を決めると、俺達は瞳を元に戻した。
◇◇◇
暫く教会内に沈黙が流れていた。
が、急に水晶がまた強く光り出すと、その場にいる全員が身構える。
「…………あれ?」
光から現れたのは、白銀の髪の少女。
突然場所が変わり困惑しているのか、辺りをキョロキョロと見回している。
「「…ライラ!」」
俺とジルはその少女の名を口にすると、少女ライラの元へ駆け寄った。
ライラは俺達をきょとんと見つめた後、口を開いた。
「お兄様達、そんなに慌ててどうしたの?」
肩で息をする俺達を不思議そうに、ライラは尋ねる。
……………ライラ、お前なぁ。
事の重大さを理解していない妹に呆れながらも、無事だったことに安堵する。
「もう! ライラどこに行ってたの! ライラがいない間、こっちはとっても大変だったんだからね!!」
ジルが怒ってそう言うと、ライラは申し訳なさそうな表情で、頭を下げてきた。
「ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ないデス」
「いや、大丈夫だ。頭を上げろ。それより、お前が無事で良かった」
思わず安心したように微笑むと、ライラは嬉しそうに「ありがとうございます」と返した。
ジルはニッコリと不自然に笑うと、冷たい声で言った。
「ということで、詳しい話は家で色々と聞くから覚悟しておいてね?」
「ああ、たっぷりと聞かせてもらうからな?」
俺も口元を歪ませると、ライラは青褪めながら苦笑いした。
「はは、お手柔らかにお願いするね」
勿論お手柔らかに行く訳ないけどな。
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