転生令嬢の普通。
「私がこちらの世界に来たのは分かったが、なぜライラとしてまた転生したのだ?」
ふと当初の目的を思い出して口にすると、神々はきょとんと首を傾げました。
「それ今言っちゃいます? まぁ、話が大分逸れてましたもんね」
「だから言っている」
そう返すと、神々は呆れたような表情をしました。
「うわ、この人面倒臭いタイプ……ゲフン、ライラさんがまた転生しているのは、多分精霊とかその他諸々の執着と、世界がライラさんを必要としているからでしょう。他は思いつきません」
「なるほど…お前ら全員後で覚悟しとけよ??」
プチっと何かが切れたので、爽やかな笑顔で拳を握り締めてそう言うと、神達は土下座をしました。
「ごめんなさい」
「許さん」
◇◇◇
そんな感じの会話した事を振り返ると言う名の現実逃避をしていたら、誰かが私の頬をつついてきました。
…私が教会に戻ってきた後、一部の方々しかもう残っておらず、別室へ移動したのですが……。
遠い目をしてそうぼやきました。今日何回遠い目をしたんだろ…………。
ついで勝手に人の頬をつついてくる人なんて、二人ぐらいしか思いつきませんね。
溜息を吐きながら、私は口を開きました。
「…ジルお兄様、人の頬を勝手につつかないで」
一応咎めるも、目の前のお兄様はそれを無視して頬をつついてきます。
「わお、ライラほっぺた柔らかすぎない? マシュマロみたーい」
「人の話を聞きやがれください。後カイお兄様もやめて」
ジルお兄様の隣で同じように人の頬をつついてくるカイお兄様にそう言うと、カイお兄様は悪気もなく笑いました。
「すまんすまん。でもライラ、お前口悪い。兄に対する口の聞き方がなってないぞ」
「そうだよ」
「現在進行形で人の頬をつついてくる方々に言われたくありません。言ってもやめないのならお兄様達とは一週間口を聞かないからね」
謝る気がないと言わんばかりの物言いに、若干ムカついたのでそっぽを向くと、二人は慌てました。
「ら、ライラ!? 一週間も口を聞かないのは酷いよ!! 分かった、僕達が悪かったよ。ごめんなさい、ごめんなさい!!」
「…あーその、すまん。悪かった。そんな拗ねないでくれ……」
「拗ねてないもん」
そんな会話を広げていると、お父様が話に加わりました。
「ライラ、少し良いかな?」
その声を聞き取った瞬間、私は悟りました。
これ、強制的に尋問されるヤツだ、と。
◇◇◇
また移動した私達は、人気のない…恐らく尋問部屋と推測される部屋へ入ると、お父様達が私を囲みました。
「…ライラ、今回の事態、どういうことか、分かるよね?」
「…………はい」
「ライラ、君は姿を消した数時間、どこへ行っていたのかな?」
「白い謎の空間」
「「「はい??」」」
投げかけられた質問に素直に答えると、お父様達は笑顔でピキリと固まりました。
「白い空間って……」
「神がいる空間だけどそれが?」
困惑する彼らにしれっと言葉を返すと、今度こそ絶叫が教会内に響き渡りました。
「「「「はあああああぁぁ!??」」」」
「…っ!?」
思わず耳を塞いでしまいました。
「「「「規格外にも程がある!」」」」
全員にキッパリと言われたので、つい言い返してしまったのでした。
「神と交流するのは至って普通の事だよ!!」
「「「「普通じゃない!!!」」」」
普通ですよ! こっちは散々化け物と殺り合ってるのなんて日常茶飯事だから、神と交流するぐらいなんて可愛いモノです!!
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