転生令嬢と真実。2

………ふざけんなあの馬鹿野郎!!


ついでに心の中で付け加えました。



◇◇◇



いきなり大声をあげたからか、神々はビクッと肩を揺らしました。


「ら、ライラさん……?」


困惑するような声で名を呼ばれ、我に返ります。


ヤバい、つい叫んでしまった。

 

そう冷静になったものの、やっぱりあいつへの怒りは収まりませんでしたので、心の中で文句を言います。


……ああああ!! 何やってんだあの馬鹿!


魔神? お前邪破神ヴァージーゴッドだろうが!? 何ちゃっかり進化してるんだ!!


あいつ、あの事を話してる訳じゃないよな?


突然不安に駆られた私は質問しました。


「……その魔神ヴィアスとやらは、もしかして半邪神・半破壊神だった奴か…?」


絶対に嘘だと言って欲しいと願う私に、無情にも、現実が突きつけられました。


「はい、そうです」


女神アニマから告げられた言葉に、私は項垂れました。


「……そいつ、アルクのことについてなにか……」


「あ、はい、完璧に言ってます。なんなら『漆奇大乱戦』のことをめちゃくちゃ話してます」


「………………」


「大丈夫です。私も耳にした時は同じ気持ちでしたから。そう思ってしまうのも仕方ないですよ」


死んだ目になった私に、女神アニムスはすかさずフォローしてくれましたが、それでも死んだ目でした。


もう事態は収束不能ですか…ベネになんと言えばいいんですかね??


あれ、女神アニマとアニムス以外殆ど喋ってませんよね??


「話を戻そう。魔族とやらは分かった。その『転移者』とは何者なんだ?」


一瞬疑問に思ったけど、ここで出すべきではないと判断したので、話を切り替えます。

 

しかし私の質問に対して、答えたのは女神アニマとアニムスではありませんでした。


「そこは自分の担当なので答えさせてください!」


なぜ??


私の問いに答えるように発言したのは、十代前半くらいの小柄な少年でした。


…………確か……。


「貴方は歴史と智慧ちえ男神おがみソフォス殿か?」


思わず呟くと、歴史と智慧の男神であるソフォス(仮)は、肯定しました。


「そうです。ご紹介が遅れました。自分は歴史と智慧の神を務めさせて頂いております、ソフォスと申します」


男神ソフォスはうやうやしく頭を下げると、丁寧な言葉遣いで名乗り上げました。


男神ソフォスは、先程本人が言っていた通り、歴史と智慧を司ると言われている神です。


聖書などではなぜか好青年みたいに描かれていますが、実物はやはり子供の見た目なんですねぇ……。


おっと、大分話が逸れてしまいましたね。戻さないと。


私は神妙な顔で、口を開きました。


「それでもう一度問うが、『転移者』とは、一体何者なんだ?」


その言葉に、男神ソフォスはきちんと答えてくれました。


「性別は男で、年齢はおそらく三十代後半。名前は『ケント・コダ』で、黒髪黒目のやや細型です。根暗で陰険な人物とのこと」


「要するに、ヘタレで弱虫でよく調子に乗るどうしようもない奴ってことか?」


「はい、そうです」


腕を組み、質問を重ねると男神ソフォスは躊躇ためらいもなく頷きました。


「………凄く面倒臭いタイプじゃないか……」


「「「「「「ごもっともです」」」」」


天を仰ぐと、神々も同じように天を仰ぎました。


…これ、無視しちゃ駄目ですかね?

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