転生令嬢と真実。1


私の言葉を聞いた神々はパチリと瞬くと、首を傾げました。


「どういうことですか?」


その声に、説明が足りなかったなと苦笑いしました。


…三回も人生を歩んでいる、では伝わりにくかったようですね。


補足しようと、私は口を開きました。


「すまない、私の説明不足だ。噛み砕いて言うならば、『』ということ」


私の話を聞いた神々はこくこくと頷くと、顔を見合わせました。

 

「言った方がいい?」


「言った方がいいでしょう」


「ここで答えなかったら不敬だろう」


そして、小さな声での話し合いは終わったらしく(全部聞こえてる)、女神アニマが答えました。


「ええと、なぜライラさんが二回転生しているか、という話でしたよね?」


「ああ」


「実は……ライラアルクさんよりも前に、……」


「『転移者』………?」


思ってもみなかった単語に、首を傾げました。


私の様子を見て、女神アニマは苦笑しました。


「まぁ、困惑するのも当然でしょう。話を戻しますと、ライラさんがこちらの世界に来られる前に、この世界へ転移してきた方がいらっしゃいました」


「なるほど……それで、その転移者がどうかしたのか?」


「はい」


相槌を打つと、女神アニマは神妙に頷きました。


「およそ五百年前ですかねぇ……まだ『魔族』が表舞台にいた頃のことですが」


「ご、五百年前!? え、ま、魔族?? ちょっと頭の中で情報が処理できるまで待ってくれないか??」


私は女神アニマから告げられた内容に驚いて、情報整理をする時間を要求しました。


女神アニマは動揺した私を可哀想に思ってか、憐れむような目でこちらを見て、「勿論待ちますとも」と言った。


私は一旦深呼吸をして、どうにか頭を落ち着かせました。


……ふぅ、落ち着け。情報を整理しよう。私が二回も転生してるのは、私よりも先にこちらの世界へ来た『転移者』に原因がある。


…ここまでは分かる。が、その後だ。その転移者が来たのは約五百年前ぐらいで、その時は『魔族』が表舞台にいた頃のこと。


まとめるとこんな感じだろうと考えるていると、妙に引っ掛かるモノがありました。


魔族ってなんだ? 魔族とはなんのことだ??


部長だった前々世で読んだラノベとかにある魔族とかじゃないよな??


いやでも、この世界の魔族って割と温厚なのが多いんじゃないか??


この世界の魔族が全く分からないので、女神アニマに質問しました。


「失礼するが…この世界の魔族とはなんだ?」


私の言葉に、女神アニマは思い出したように答えました。


「あ、知らせてませんでしたね。すみません。この世界の魔族は、」


そしてこの言葉の続きを聞いて悟りました。


「魔神ヴィアスが率いる集団…種族であり、魔法や身体能力を始めとして、人類を遥かに上回る存在で、魔神ヴィアスを崇める種族のことを言います」


特徴として、角や獣耳が生えていますよと女神アニマは付け加えましたが、私は思わず大声を出しました。


「あんの馬鹿ヴィアス!! 何やってくれてんだ!!!」


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