転生令嬢、神々と邂逅する。
私は自分に対する苛立ちや羞恥を溜息を零して逃すと、開き直って神達に向き直った。
……ここは元騎士団長として、腹を括りましょう。やってしまったものは仕方ありませんしね。
「…いや、謝るのは私の方です。いきなり見知らぬ場所に放り出され、少し取り乱してしまいました。申し訳ありません。あの、頭を上げてください」
片手を上げて降参のポーズを取る私に、女神アニムス(仮)は焦ったような声をあげました。
「いや、私達が悪いのであって、決してライラ様が謝られることでは…!」
「ライラ様?」
女神アニムス?が私を様付けで呼んでいることに違和感を感じ、思わず呟きました。
さ、様? 確かに騎士団長として様付けはされたりもしましたが、それは前世の話で…あ、今世は公爵令嬢ですから普通に様付けはされますね。
でも、目の前の神(仮)は一応神ですし、公爵令嬢といっても一人間である私に敬語を使う必要もありませんよね??
「…先程から気になっていたのですけれど、なぜ貴方達は私を様付けで呼ぶのですか? いくら私が公爵令嬢といえど、貴方達は神であるから敬語も様付けも必要ないのでは?」
首を傾げながら質問を重ねる私に、神々は恐ろしい形相で顔を横に振ります。
「いやいやとんでもないですから! いつも困らされていた邪神達の暴走を止め、挙句に改心させるなんて貴方様しかできません! 我々でも無理です! 誰もできません!」
「貴方様に敬意を払うのは神も人も関係ありませんから! とゆーか我々に敬語で話さないでください! 恐れ多すぎてぶっ倒れます!!」
「そ、そうですか…………」
その剣幕に押されそうになり、掠れた声を出すと、一歩後退りました。
前世の私よ、一体何をしたんですか。いくら戦闘狂だとしても、やり過ぎです! 神々に敬われる程のことをしたなんて、何をやらかしたんですか!!
ええ、自分でしたことで墓穴を掘るなんて、騎士団長が聞いて呆れますよ…本当に!!
絶対ベネに
私は心の中で叫び、思考を切り替えました。
敬語で話すと神々がぶっ倒れるんですよね…じゃあ普通に敬語は抜きますか。
「一度話を整理しよう。まず、私は検定を受けるために教会へ家族と共に訪れた。そしていざ検定の時に水晶が光り、この空間へ呼び出された。で、いまに至る」
これでいいか、と視線を送ると、女神アニムス(仮)はこくこくと頷いてたのでひとまず大丈夫だと考えました。
「つまらないことを聞くけど、貴方達は本当に神なの?」
ずっと疑問に思っていたことを口にすると、神々(仮)は必死で頷きました。
「私達は本当に神です。人ではありません。この頭にある花冠が神である証です。浮いてますし」
その言葉に私は目を細め、神々(仮)を観察しました。
確かに言い伝え通りの見た目ですし、足が浮いていますね…それに真剣な目を見て嘘ではないでしょう。
私はそう考えると、神妙な顔をして口を開きました。
「貴方達が神だというのは、信じることにする。だが、一つだけ質問がある」
「なんでしょうか?」
私の言葉に女神アニマは首を傾げました。
私は、ここが正念場だと思い、真っ直ぐに神々を見据え言いました。
「なぜ私は、三回も人生を歩んでいるのだ?」
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