転生令嬢と神々の対面。


……尋常ではない光景を前にして、私はどう対応すればいいのだろうか?


一瞬でアルクの思考でそう考えてしまうほど、異様なことに、私は眉を寄せます。


一体ここはどこですか? そして、目の前にいる不審者達は何者なんですか?


「…私はとうとう幻覚さえも見てしまうのか」


思わずそう呟くと、目の前にいる女神アニムス(仮)が、苦笑しながら口を開きました。


「その、唐突で申し訳ないんだけど、ライラさん」


「勝手に話しかけないでくれませんか? 人が考えてるのを邪魔しないでください。とても不愉快です。大体、貴方達は何者ですか?

私は教会の検定を受けに来たのですが、なぜこの白い空間にいるんですか? 貴方達は私に転移魔法を使って誘拐したのですか? 私を捕らえて何がしたいのですか? さっさと答えろ不審者共が」


私は苛立ちのあまりその声を遮ると、流れるように質問と不満の数々を口にした。


最後の方は完璧に嫌悪感が滲み出てしまったが、仕方ないと思う。


せっかく新しくステータスが見れると楽しみにしていたのに、勝手に白い空間に拉致されて怒らない人は絶対にいないんですよ。


目の前の方達がしたことはそれぐらい愚かなことです!


しかも、偶然にか女神アニムスとアニマ達の姿をしている奴らがいるし、初対面のはずなのに私の名前を知ってるって、おかしくありません?


これのどこをどう見て安心出来るのでしょうか??


…ふざけるな。ふざけるな!!


殺意丸出しでポロッと出た私の言葉を耳にして、神々(仮)達はピシッと固まり、気まずそうに顔を伏せました。


「その、ごめんなさい…」


女神アニマ(仮)がぼそぼそと謝罪の言葉を口にしたけど、それでも私の気は晴れませんでした。


「謝っただけで私が貴様らを許すとでも? ハッ、神々は随分と私を舐めてるみたいだな?」


「「「「「「本当に申し訳ございませんでした!!!」」」」」」


嘲笑いながらそう告げる私に、神々(笑)が一斉に土下座しました。


「本当に本当に申し訳ございませんでした! 私共が愚かなことをしたことは承知しております!」


「許して貰えるとは微塵みじんも思っておりません! 神の名の下に誓い、決して貴方様の不利益になるような行動は致しません!」


「我々は貴方様に何度も助けて頂いた身。決して恩を仇で返すような愚かな行為は絶対にしないとこの世界に誓います!」


「我々の浅はかな行動でお気を悪くしてしまい、大変申し訳ございませんでした!」


「本当の本当に申し訳ございません!! この身で出来る限りのことは致しますので、どうぞなんなりとお申し付けください!!」


「かくなる上は我が身を捧げる所存でございます!!」  


勢いよく降り荒れる嵐のような言葉のマシンガンに、私はすっと冷静になりました。


そもそも私も人の事は言えませんよね。私だって初対面の人にいきなり見下したような態度を取りましたし……。


思い返せば返す程穴を掘って埋まりたいくらいに見苦しい姿を見せていたことを改めて自覚すると、頭を抱えたくなりました。



………本当に面目ない………………。

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