転生令嬢の検定。2
お父様の睨みに神官さんは耐え切れず、顔を青ざめ小さな悲鳴をあげて、そそくさとどこかへ行きました。
「まったく、下心が見え見えだってのに………」
お父様は溜息を漏らし、やれやれと肩を落とします。
「まぁまぁ良いじゃないの〜。あーゆーのは、ちょっとお仕置きすれば大人しくなるものでしょ〜?」
お母様が珍しく黒い顔で微笑んでいます誰か助けてください。
「…お母様、少し落ち着いてください。カイ、今すぐアイツの情報探すよ」
「ああ。楽しい楽しい『お話し合い』が待ってるからな」
お父様に次いでお兄様達も黒いオーラを出しています。ヤバイですこれは止めないと。
「…お母様達なんか怖い……」
恐る恐る呟くと、お父様達はドス黒いオーラをしまい、笑顔になりました。
失礼ですけど、それも怖いです………。
心の中で震えつつ、指定された席で大人しく待ちます。
「まさかライラ、全属性だったりして……?」
ジルお兄様がおちゃらけたように言いますが、カイお兄様が間髪入れずに叩き落とします。
「そんな訳ないだろ。流石にライラが全属性持ちだったら余計に虫が増える」
「んー確かにー。ライラに余計な虫がこれ以上ついたら面倒いもんねぇ」
のんびり会話を交わしていますがその『余計な虫』とはなんですか…!? 虫型の魔物ですか!? 私それ嫌なんですけど!?
グロイ魔物ならいけますけど虫は生理的に受け付けませんよ!?
虫なんて食料にならないですし、あんなのちっとも美味しくないです。
どこかズレた会話をしていると、神官さんが私達を呼びました。
「あらもうお呼び? 早いわねぇ」
お母様がのほほんとした笑顔で言います。
「さて、もう行こうか」
口端を上げて、お父様が私達に話しかけます。
「あぁ〜、いよいよかぁ」
「せいぜい舐められないように振る舞えよ」
「なーに言ってんの、そんなの当たり前でしょ。カイこそちゃんと『公爵令息』として振る舞ってよ?」
「アァ? んなのとっくのとうに出来てるっつの。あくまで俺らは付き添いだ。ライラに『余計な虫』がつかないように守るのが俺達の役目だろ」
お兄様達が二人で話し合っているのでしょうか、ぼそぼそと声が聞こえます。
「おーい、ジル、カイ。お前達大丈夫か?」
お兄様達を心配したお父様が二人に声をかけました。
「「大丈夫です」」
「息ぴったりに言うな。大丈夫だと思うが」
阿吽の呼吸で言い放ったお兄様達にお父様がしれっと返します。
お兄様達って、なんでこうゆう時だけ馬が合うんですかね。
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