転生令嬢の検定。1

 

ベネと再開してから数ヶ月経ちました。


勿論契約したことはお父様達にはまだバレていません。


そして今日はいよいよ待ちに待った検定の日!!


お察しの通り、異世界漫画お約束のやつですね。


アルクの時は全属性だって言われて困惑したのも良い思い出ですよ…ハハッ。


テンプレならば神殿で検定しますが、ええ。


そのテンプレですよ。


現在馬車で神殿へ向かっています。


イア達精霊組はお留守番です。


「…いよいよねぇ。楽しみだわ、ライラちゃんがどんな魔法使うのか!」


お母様、いい年なんですから子供みたくはしゃがないで下さい。


「こらこらリリィ。お前がはしゃいでどうする…」


「あら貴方こそ、昨日の夜半裸で踊り狂って喜んでたじゃない」


「あ、いや……それは……」


「え、お父様…そんなことしてたの…?」


「………白状したら?」


「誤解だ誤解!! リリィ、出鱈目でたらめなこと言うんじゃない!!」  


「「「…………………」」」


「そんな目で見るな!? 私そんなことした覚えないぞ!?」


何故かヒートアップしたお父様達の会話。


…もう、何やってんだか………。


あんまり目立たない方がいいんですけど…。


触らぬ家族に苦労無し。


…少し、思い出を振り返りましょうか。



私は胃癌で死んで、目が覚めたら、森の中にいて、魔物が真正面から襲ってきて、そこら辺に落ちていた木の棒で倒して。


前国王に会い、見初められ、騎士団に入って…騎士団長になって、魔物とか邪神とか破壊神と戦って仲間に友人になって、最後は突然死して………今考えると、凄いことしたな私。


にしても、流石に邪神や破壊神と言っても、神ですからね。


神と親しくなるって、そんなに大変なことでしょうかねぇ?


…感覚狂ってるのでしょうかね?


なーんて、今考えても仕方ないですね……。


「ジル、カイ、ライラ。神殿に着いたよ」


「「「はい」」」


お父様の声で現実に戻り、お兄様達と共に頷きました。


いざ神殿に足を踏み入れると緊張しますね……。


二度目ですけど…人間、慣れないことをするとなると、いつでも緊張しますからね。


ここはきっちりしませんと。


表情を引き締めて、足を踏み入れます。


「「「………わぁぁ……!!」」」


久々の神殿は、相変わらず白くて、それでいて、とても神秘的で、幻想的で。


私達が神殿に見惚れていると同時に、神殿の塔の上にある金色のベルが、カーンと音を鳴らしました。


神殿内に入ると、私達以外の王侯貴族が、キラ星の如く集まっています。


「ようこそおいでなさいました、トリファー宰相閣下」


すると神官さんが、下心を含んだ目でお父様に近づきました。


「ああ。今日は我が娘、ライラの検定の日だからな」


キモ……げふん、鬱陶うっとうしい神官さんに、お父様は笑みを貼り付け対応します。


「すぐにでも検定を済ませたいんだ……少し、どいて貰ってもいいかな?」


トドメと言わんばかりに圧倒的威圧感オーラを醸し出し、神官さんを睨みつけます。

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