王城暮らし

転生令嬢、仕事が欲しい。 (多視点あり)

「ふああ。起きたぁ」


引っ越して二日が過ぎました。


≪おはよう、ライラ≫


≪はよ≫


≪おはようございます≫


イア達が挨拶してくれました。


「おはよ〜」


頭がボーッとします。


≪着替えましょう≫


「わかった〜」


–––グリグリ–––


目をこすります。


≪擦るのだーめ。取ってあげるよ≫


目のゴミがなくなりました。


「ありがとう」


≪どう致しまして≫


≪ふあああ、ふぁあ≫


≪あくびやめて。うるさい≫


≪仕方ねぇだろ≫


≪喧嘩しない。着替え終わりました≫


仲良いです。


「きょうは、どんにゃかみがたにしゅるにょ?」


≪ふふ。何にしましょう?≫


≪キモ≫


≪殺されたいのですね。レオ≫


≪ごめんなさい≫


あはは。


≪寝癖を治してくれますか? イア≫


≪分かった≫



身支度を終えて、ニトおじ様達の所へ向かいました。



◇◇◇



「おはようごじゃいましゅ」


「「「「「おはよう」」」」」


挨拶をしました。


「にとおじしゃま、わたししごとがほしいのでしゅ」


「「「「「え?」」」」」


皆さん、驚いています。でも何もしないでいるのは、無理なのです。


「しょるいのしぇーりとかおとうしゃまのおてつだいとか、しごとがほしいのでしゅ」


「えーと、ライラはまだ、しごとをしなくていいんだよ? 二歳なんだし…」


ニトおじ様が困惑しながら言います。


「でも、わたしははくしゃくです。きじょくでありにゃがら、しごとがにゃいのはおかしいです。だから、わたしにしごとをくだしゃい」


≪仕事あげてあげなよ≫


イアも協力してくれました。


「し、しかし……」


ニトおじ様は、更に困惑しました。


≪私達がいるのでご心配はいりません≫


≪安心しとけ≫


「…分かりました」


やりました! ありがとうございます、イア、レオ、ミア!




私に与えられた仕事は、書類の整理でした。



◇◇◇



ライラの仕事が決定した後、僕達はこっそり話し合った。


「……アルク殿に似ている」


父上がぽつりと呟いた。


「父上、アルクとはどなたですか?」


僕は父上に尋ねた。


「アルクはな、アルクーリ殿の事なんだ。私が王太子だった時の師匠さ」


「「「!!」」」


僕とレト達は、驚いた。


アルクーリ……アルクーリ・ドルク。


我が国にしては、の女性騎士団長だ。


数々の敵を何万、何百万、それ以上のその手で倒し、数多の魔物を倒した英雄ヒーロー。とても賢く、気高く、優しい方だ。今ではこの国に全ての者の憧れだ。僕達も。


彼女については、様々な伝説がある。でも、若くもこの世を旅立った。


「父上、アルクーリ様はどんな方ですか」


また、尋ねる。


「彼女は、剣術に長けていたけど魔法にも長けていたさ。彼女は、平民ながらにして全属性持ちだったんだ。厳しく、優しい方だったよ」


父上は、懐かしそうに一つ一つ、彼女について語り出す。


レト達は、ただ黙って聞いている。


「父上、もしやライラが彼女だと言うのですか?」


僕は、疑問に思っていた事を言う。


「いや、まだ断言できない。でも、可能性はあるだろう。ライラが彼女の生まれ変わりだと」


その言葉に皆、表情を引き締める。






彼女の秘密を知るのは、後の話。





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