ライラが契約して…… 。 ジルside
僕の可愛いライラが精霊と契約した。
喜ぶものなのかもしれないけど、僕はとても複雑な気持ちだった。
僕ことジルード・フロート・トリファーは、
この世に生を受けとても幸せだった。
とても家族思いで、聡明なお父様。
美しく、とても優しいお母様。
弟でもあり、好敵手でもあるカイ。そして、僕達の唯一無二の妹、ライラ。
あの子は、お父様に似て賢く、お母様に似て
優しい。
後は、カイと髪色や瞳の色が似ている。けれど、髪や瞳の透明度はライラの方が高い。
あの子は、沢山の見合い話が来るだろう。
でも、カイも僕もお父様もライラを嫁がせるつもりはない。
僕がそんな事は考えていると…。
「おい、ジル。どうしたんだよ、いきなりぼーっとして」
カイが心配そうに僕を見た。
我に返った僕は、落ち着いて言った。
「カイは、何とも思わないの? イア殿について」
カイは、はあと溜息をついて呆れたように言って来た。
「何とも思わない方がおかしいだろ。俺だって、まだ納得してねーよ」
良かった。カイも同じだった。
「けど、なーんか妙な気配がした」
妙な気配…あぁ、あれか。
「やっぱり、カイもか」
イア殿と似たような気配が。
イヤな予感がする。
ライラの身に、何か無ければ良いんだが。
「そんな事より、ライラがイアに独り占めされる前に急いで行かないと駄目だろ」
「ああ、そうだな」
◇◇◇
この後、ライラが新たに精霊と契約するとは思わなかった。
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