転生令嬢の前世。

私は、二回の人生を謳歌した。


最初は、日本と言う国のとある会社の部長だった。独身である。


次は、イーリス王国の騎士団長。アルクーリ・ドルク。またも独身である。


一回目、二回目は、オシャレとは無縁の人生だった。ん? 性別だって。女だが?


どっちも。だからって私は、オシャレがしたい訳じゃない。


そして三回目の人生は、貴族の娘。(推測)すなわち、令嬢とも言われる。令嬢は淑女?でもあるらしい。貴族だった部下に聞いた事がある。


何? 令嬢に生まれたんだから、令嬢らしく振る舞え? 仕方がない。あ、ああ。んー、んー。


これでよろしいでしょうか。敬語は、普段中々使わないので。あっ、そろそろ目覚めそう。それでは。






『チュンチュン』


うー、日差しが眩しいです。 

あれ? なんで私、敬語で話しているのでしょうか。あ、敬語で話せと言われたんでした。


「おはようございます。ライラ様。良いお天気ですね」


茶髪の美女が穏やかに微笑んでくれました。

侍女でしょうか? 


こちらも挨拶しなくてはなりませんと。


「おあおーおあいあう」


やはり、上手く喋れません。これで伝わってくれると嬉しいのですが。


「よしよーし。ライラ様は、偉いですねー」


とりあえず、意味は伝わったようです。

けど、子供扱いされるのは少し恥ずかしいです。慣れなくては。私がそう心の中で決めた時です。


突然、コンコンと扉を叩く音が聞こえました。誰でしょう?


「ライラちゃん、いるかしら」


女性の方みたいです。

高く美しい、この女神様みたいな声は、お母様なのでしょう。一体、どのような御用で来たのでしょうか?



「リリィ様、ライラ様は先程起きました」


侍女さんは、そう言いながら、部屋の扉を開けました。  


お母様は、リリィと言うお名前らしいです。

でも、これからもお母様と呼びます。


「マイナ、扉を開けたくれてありがとう」


茶髪の侍女さんはマイナと言われているようです。お母様にありがたく存じますと言って、ペコリとお辞儀しました。


「さっ、ライラちゃん一緒に朝ご飯を食べましょう」


お母様は、私を抱き上げると扉に向かいました。でも……。


「リリィ様、ライラ様はまだお着替えも身支度もしていません。私にライラ様をしばらく預けてさせてください」


マイナさんに言われ、渋々ながら私をマイナさんに預け、この部屋から出て行かれました。


「さ、ライラ様。まずはお着替えしましょうね。さてと、今日は何が良いかしら」


マイナさんは、私を椅子に座らせると淡い桃色のフリルがあるお洋服を用意しました。


私にお洋服を着せると、次は髪の毛用のブラシを持ってきました。そして、私を鏡の前に運んで何か考え込みます。一方、私は鏡の中の自分を見ていました。鏡にいる私は、とても綺麗な容姿でした。


水色がかった銀色の髪に何色にも輝きそうな透明な瞳。そして雪花石膏せっかせっこうの如き滑らかな美しさと新雪のような真っ白さを兼ね備えた綺麗な肌。一言で表現すると、『天使』がぴったりでしょう。


改めて、自分の家族の凄さが分かりました。私、凄い美形夫婦に生まれたみたいです。


ぼーっと考えていたら…。


「よし、出来ました! 凄く可愛いですよ、ライラ様!」


いつの間にか、髪を整えるのが終わってました。時間が経つのが速いです。


「さ、皆さんが待っています。そろそろ行きましょう」


マイナさんは、そう言って私を抱き上げそのまま、お母様達の所へ行きました。







お母様達の所に行くと、お父様とお母様。それと、私よりも四、五歳上の2人の少年が居ました。きっと私のお兄様なのでしょう。


「おはよう。ライラ」


お父様が挨拶してくれました。


私も挨拶しましょう。


「おあーおおあいあう」


マイナさんの時みたいに赤ちゃん語で挨拶してみました。


「「「「可愛い」」」」


4人とも、見事に声が重なりました。

大袈裟では?


私が遠い目で見てたら、お父様が咳払いして言いました。


「自己紹介が遅れたね。私は、ここトリファー領の領主でありトリファー公爵でもある。

ギルスティード・フロート・トリファーだよ。君のお父さんさ」


ほ〜、やはり貴族でしたか。ん?確かトリファー公爵家って…イーリス王国の宰相をやってましたよね。


「そう言えば、一つ言って無かったな。我が家は、代々この国、イーリス王国の宰相をやっているよ。勿論、私も宰相をしている」


じゃあ、私この世界に輪廻転生してたのですか。異世界転生の次が輪廻転生。しかも、同じ国。凄いですね…。


「じゃあ、今度は私の番ね。私の名前は、リリィ・フロート・トリファー。貴女のお母さんですよー」


はい、お母様の名前は知っています。


お母様の次は、お兄様達ですね。


私の予想通り、二人の内一人が言いました。


「次は、僕だね。僕は、ジルード・フロート・トリファー。長男だよ」


お母様と同じ髪色で瞳は、お父様と同じなのが、ジルお兄様ですね。金髪碧眼ですねぇ。


そして、もう一人も自己紹介を始めました。


「俺は、次男のカイ。カイラス・フロート・トリファー。よろしくな、ライラ」


ジルお兄様とは、正反対でお父様に似た髪色で瞳は、お母様と同じなのがカイお兄様。銀髪とその瞳…私と似たような色彩の子ですねぇ、不思議だ。


皆さん、凄く美形。


お母様、お父様、ジルお兄様、カイお兄様。

皆様、よろしくお願いしますね。


「おおいうおえあいいあう」


相変わらずの赤ちゃん語です。


「「「「さ、食べよう」」」」


こうして、家族全員で朝食を食べ終わりました。


  



私が三歳の時、運命は一つ、歯車が動き出す。

そんな事が起きるのかは、まだ分からない。




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