みつる
ねなしぐさ はな娘
第1話
子供は好奇心の生き物だ。
面白いと感じたことには素直に伸びていく。
私はそれが人には向かなかった。
人には無い騒々しさにも似た賑やかさが植物にはある。
アサガオ、ホウセンカ、マリーゴールド、ヒマワリ、ツユクサにオオバコ…。
地面に生えるものは全て興味の対象だ。
年中違う花を咲かせ、花が枯れれば少し休んで実をつける。種が飛ぶ季節はくしゃみが出る。
大人になり、私はホテルに務めた。
花屋のお姉さんが月ごとに持ってくる生花(なまばな)が毎月毎月変わるのをお客様の特徴を覚えるより熱心に興味深く見ていた。
小さな頃に見ていた近所の「友達」と
ホテルに飾られている「お花様」はやはり別物でとっつきにくかった。
お花様は窮屈そうに高飛車だ。
綺麗に茎を切りそろえられ、どの角度から見ても
美しく在るようにスっと伸びている。
もう生きれない活け花。
私の見ていた種子を飛ばす元気な「子」達とは違う
血の通わない「別人」。
なぜあなたは茎を切られて根や子房を取られてまで
美しく立っていたいのかと
尋ねると、
羨望の眼が欲しいからよ、とそっけなく言われた。
みつる ねなしぐさ はな娘 @87ko
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