第3話

人に会えたことに喜びすぎて気にしていなかったが周りにいる人の服装は日本では見たことが無いものだ。

(ここって日本じゃないのか?)

そんなことを考えているとリーダーらしき人からまた質問された。

「よく分からんからとりあえず森の中にいた事は置いとく。じゃあなんで俺らの方に走って来た?」

正直に

「明かりがついていて且つ人の気配がしたから休ませてもらえるかもと考えて。あと人と会えると思って嬉しくなってしまったんです。」

と答えると呆れられた。

「今回お前が近寄ったのが俺らだったから良かったが盗賊だったらお前とっ掴まって奴隷として売られてたかもしれないぞ?」

え?奴隷?

「ここには奴隷制度が残っているのですか?」

「?奴隷制度は普通にあるぞ?何だ、お前の住んでいた所には奴隷がいなかったのか?」

「ええ、いませんでした。…すいません変なこと聞くと思いますがここって何処なんですか?」

「ん?ここはオルセス王国の東に位置するゾレノ大森林だが知らなかったのか?」

地球ではオルセス王国なんて聞いたことがない。

つまり…

(ここは俺がいた地球ではなく異世界なのか…)

自分を育ててくれた両親や仲のいい友人になんの別れも告げれず異世界に来てしまったことにショックを受ける。自分のそんな様子に相手は気づかず、今更ながらの自己紹介をしてきた。

「そういえば名前を言ってなかったな。俺は商人の護衛をするクエストを受けたパーティーのリーダーをしているベイルだ。お前は?」

「あ、俺は坂本優樹って言います。優樹と呼んでください。」

「お前家名持ちなのか?それにしては聞いたことがない変な家名と名前だな?」

「えぇ、まぁ…色々あって…あまり詮索しないでいただけると助かります。」

「そう言われてもこっちとしちゃお前…ユウキだっけか?は見ず知らずの他人だからどんな奴か知っときたいんだがな。」

「こちらとしては危害を加える気はないとしか言えないです。」

「うーん。まぁ、俺のスキルの危険察知も反応しないから問題ないか。ところでユウキ、お前休ませてもらうって言っていたが金とかあんのか?まだ依頼人から許可は貰ってないがここで休むなら金かなんか貰わないとタダで休ませるわけにも行かないからな。」

日本のお金はあるけどこの世界の金は持ってない。何かいい物はないかと考えてショルダーバッグにミ〇ティアがあるのを思い出す。

(これ買い取って貰えないかな?)

「すいませんその依頼人の商人さんはどこにいますか?」

「あぁ、俺が連れてってやるよ。」

ベイルがよっこいしょと腰を上げこっちだと手招きする。

俺はそれについて行った。

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