第2話

見知らぬ森で目が覚めて歩きはじめてから5時間位経ったが道どころか食べ物になりそうな物すら見つからない。

「くっそ。何も見つからんなぁ。」

悪態をつきながらそこから更に2時間歩き続けていると水が流れてくる音が聞こえてきた。

「やった!水だ!」

目が覚めてから持っていたお茶は飲みきってしまいそれ以降何も飲んでいなかったため喉はカラカラだった。水の音が聞こえる方に走って行くと小さな沢があった。水はとても澄んでいて飲めそうだ。手で掬ってみるととても冷たい。口にすると

「うまい!」

思わず大きな声が出てしまうほどうまかった。

周りを見渡し何も寄ってきてないことを確認する。

すると近くの木にリンゴのような果物を見つけた。

「やった!めっちゃ運いいじゃん!」

その木に近寄り1つ取って力を入れると割れた。力を入れたところからは果物の汁が垂れてくるため手がベトベトだ。匂いも大丈夫そうなので汁を舐めると程よい甘さだ。思いっきり身にかぶりつくと

「味はまんまリンゴだな。」

程よい甘みの中に酸味も感じとてもうまい。何個か取って腹を満たす。そして少し休憩する。15分くらいしてから

「よし、そろそろ行くか」

何個か果物を取ってペットボトルに水を汲んでからからまた歩きはじめた。それから更に5時間、途中で休みながら歩くと日が傾きだんだんと暗くなってきた。

「もしかしたら野宿する必要があるかもな。」

口にはしてみたがこれから更に暗くなる森の中で1人で野宿する必要があると思うとゾッとする。そんなことを考えていたら遠くの方で明かりが灯っているのと人の話し声が聞こえてきた。

「やった!人とやっと会える!」

走って寄っていくと

「何だ!?盗賊か!?」

物凄く警戒されてしまった。

近くにいた皮鎧を来た人やローブを身につけている人達に鋭い視線と武器を向けられている。後ろの方では武器を持ってない人達がこちらを警戒している。

「うぇ!?あ、怪しいものではないです!」

咄嗟に口をついたのはこんなセリフだった。

「そんなこと言って怪しくない者なんているか!」

そりゃそうだ。俺だってそんなこと言う奴警戒する。当たり前だ。だがこっちも必死なので何とか弁解するしかない。

「本当ですってば!」

「なら手を上げて後ろを向け!」

そう指示されたのでとりあえず後ろを向き手を上げる。すると人が歩いてくるのが聞こえる。そして、ポケットや胸の当たり触ってバッグは外され中身を確認される。

「なんだお前?変な格好だし武器を持ってないのか?なんかよくわからん物も入ってはいるが危険は無さそうだな。おい!こいつ武器は持ってないみたいだぞ!」

確認した人がそう言うと周りの人はとりあえず武器を下に向けた。

少しだけ警戒を解いてくれたみたいだ。

「お前なんで森の中歩いてるんだ?」

リーダーらしき人にそう聞かれたので素直に

「目が覚めたら森の中にいたので歩いていました。」

と答えたら

「はぁ?」

という返答が帰ってきた。まぁ、これまた当たり前だよな。

だがこうして無事に人と会うことが出来た。

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