第4話 大学生活について 1


 前回までは、少し暗い部分も多かったと思うので、今回から、大学生活について書いていこうかなと思います。

 

 まずは、高校生の頃を振り返っていきます。高校は、普通科高校でした。もしかすると、「最初から建築を学びたいと思っていたなら工業高校の方がいいのでは?」

と思う方がいるかもしれません。勿論、そっちの道でも良かったと思っています。しかし、通学の範囲内の工業高校に、建築学科が無く、高校から一人暮らしをするのも気が引けたので、普通科高校に入学しました。そのころの自分は、国立大学に行く気満々だったので、勉強と部活の両立を図りながら高校生活を送りました。高校生活でも、多くの経験をしましたが、勉強の継続の難しさは、嫌と言うほど実感しました。この経験は、塾のアルバイトで生かされていきますが、その頃の私には想像すらできていませんでした。


 大学受験の結果は、国立大学は、不合格でした。理由は、試験前日に、インフルエンザに罹ってしまったことで、試験に集中できなかったことです。今にして思えば、息抜きがてら本屋で立ち読みしていたことが原因なのですが、当時の私は、パニックになり、自分の実力を出し切れませんでした。しかし、国立の試験の2,3日後に受けた私立大学は、合格していました。ただ、その結果を見た時、国立に落ちていたことで無気力になっていたので、うれしくありませんでした。むしろ、この結果を見て、浪人しようかなとも思いました。しかし、合格資料を郵送で頂いた時に、特待生に選ばれたことを知ります。この時は、大いに驚きました。そこから、進学するかどうかについて迷い始めました。結果的には、その私立大学に入学することに決めました。浪人したときの予備校などの費用を考えた時に、現役で、私立に行った方が、安上がりなのではないかなと思ったからです。しかし、この考えには、前提条件がありました。それは、「毎年、特待生に選出されること」でした。


 この私立大学の特待生制度の特徴として、成績が、上位の場合、1年の学費が最大で半額になることでした。ということは、特待生になり続けると、国立大学の学費と同じくらいになります。詳しく言えば、学費が大体560万円(入学金などを除く)で、ずっと半額減免ならば、約300万円になる計算です。両親とも相談し、進学を決めましたが、かなりのプレッシャーだったと言えます。受験のトラウマが残っていたので、「自分にできるのか」という不安と「何としてでもやらないといけない」という義務感が、心の中にありました。それと同時に、将来の夢をかなえてみせるという気持ちもありましたが、緊張感が大きすぎて、見えないところに行ってしまったことも事実です。

 何がともあれ、将来の夢へと近づいていくことになるのですが、今にして思えば、この緊張感があったからこそ、より建築に向き合い、ひたむきに努力できたのかなと思います。


 最後にですが、この話題を触れて終わろうと思います。それは、「大学に行く意義」についてです。これは、時々議論になることがあります。「Fランクの大学に行く意味はあるのか」や「大学で学んだ知識は、社会で役に立つのか」などの問いです。前者の私の考えは、「自分で、考えろ!」というシンプルな答えです。私が入学した大学もいわゆる「Fランク大学」でしたが、一級建築士取得者数のランキングでも、偏差値の割には、良いところに食い込んでいます。そして、就職先は、私が知っている限りでも、スーパーゼネコン(単独で売上高が1兆円以上ある建設会社)に8人以上、就職内定を頂いています。準大手ゼネコンだと10人以上はいます。ハウスメーカーでも、大手と呼ばれるところに内定を頂いています。


このように、たとえ、「Fランク大学」だとしても、就職先が、他のランクの大学と引けを取らないレベルの大学や専門性が高い大学など魅力的な特色がある大学が存在しています。それらを見ずに、偏差値だけで、意味がないというのは、いささか早急すぎます。一番大事なことは、「その大学に行き、何を成し遂げ、自分の将来に繋げていくか」につきます。偏差値が高い大学に行っても、このことがなければ、行った意味がありません。それを考えて、実行することが、「大学に行くことの意義」だと考えています。また、後者の「大学で学んだ知識は、社会で役に立つのか」ですが、それは、私には答えられません。まだ、新社会人になる予定の段階なので、迂闊にものを言えません。しかし、先輩の話の中でよく聞くフレーズは、「もっと大学で学ぶべきだった。」というものです。この言葉だけで、判断はできませんが、やっておくことに損はないようです。

長くなりましたが、今回は、これで終わります。次回は、大学生活について書いていきます。よろしくお願いします。

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