なんでも自販機

 Mさんは登下校の最中、とある自販機で飲み物を1本買う。


「今日はスポーツドリンクが飲みたいな」

 その自販機に百円玉を投入しながらMさんが思うと、アクエリアスが吐き出される。


「今日は寒いから、温かいものを」

 今度はホットのココア。


「虫歯が痛い」

 そんな時は痛み止め入りの天然水が出てきた。


 この自販機は、その人が飲みたいものを出してくれるのだ。


 ある日Mさんは、友人のDさんを例の自販機に連れて行った。


「飲みたいものが出てくるんだよ」


 そう言いながらMさんが百円を投入すると、昨年夏の期間限定飲料が出てくる。


 Dさんも同じように百円を投入する。


 出てきたのは、点滴液が入ってるような、ビニールパックに入った赤い液体だった。


 Dさんはそれを躊躇することなく、ゴクリと飲み干して笑った。


「私、トマトジュースが好きなの」

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