文明の記念碑
銀河の中心には、巨大なブラックホールがある。この起源不明の特異点を調べることは、宇宙解明のために非常に重要である。
従って、恒星間航行を成し遂げた天の川銀河の知的文明は、中心のブラックホールへと向かうことになる。
光さえも飲み込むブラックホール。その淵には観測限界がある。
事象の地平線である。
物体は、光の速さに近付きつつ、落ちていく。
光の速度に近づくほど、時間の流れは遅くなる。つまり、ブラックホールに飲み込まれた物体は、事象の地平線に向かって、永遠に落ちることになる。
この性質を、知的生命は記録媒体として利用した。
天の川銀河に属する文明は、自らの存在した「証」をブラックホールへと落とす。それは「人類万歳!」と記された紙だったり、自らの肉体だったり、星そのものだったりした。
こうして、天の川銀河の中心、ブラックホールの淵には、文明の記念碑が無数に建っているのである。
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