肝試し翌日の会話

「お、おはよう」

「ああ、おはよう」

「なあ、大丈夫だったのかよ」

「何が?」

「昨日の肝試しだよ! お前、途中でいなくなっちゃったじゃないか!」

「別に。普通に帰っただけ」

「ふざけんなよ! 勝手に帰んなよ!」

「怖かった?」

「・・・そういうわけじゃない。お前が『声が聞こえるー』だの『連れて行かれるー』だの叫んで走り出すから」

「僕、そんなこと言ってた?」

「いや、言ってただろ」

「覚えてない」

「・・・なあ、お前本当に大丈夫か?」

「大丈夫。しつこい」

「だってお前、自分のこと『僕』なんて言ってなかったじゃん」

「ーーそうだっけ」

「お前、俺の名字言ってみろ」

「どうして」

「いいから!」

「月見里、くん」

「俺の制服の名札見ただろ」

「見てない。合ってるでしょ」

「違う。俺はツキミザトじゃない。ヤマナシって読む。クラスの全員が知ってることだぞ」

「・・・・」

「お前、誰だ」

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