宝石頭痛

 視界の端にキラキラとした輝きが見えて、私は身構える。すぐに眼球の裏が痛みだす。私の頭痛は十二歳から始まった。今はだいぶ慣れたが、初めての時は、あまりの痛みに気を失うほどだった。


 頭痛は、ものの数分で耐えがたいものになる。心臓の鼓動に同期して、目の裏が熱を持つ。スプーンで目玉を掻き出され、視神経の束を引きちぎられているような激痛。


 私は必死に耐える。壁に頭をぶつけ、自分の腕に噛みつき、髪の毛を掻き毟る。そんなことをしても痛みが消えるわけないが、やらずにはいられない。やがて呼吸は荒くなり、手足が痺れてくる。目の前がチカチカする。

 

 ーーいっそ、死んで楽になりたい。

 

 そう思った時、視界が一瞬、真っ赤に染まった。

 カチ、と音がした。

 気づくと、眼の痛みはキレイに消えていた。

 そして私の前には、真っ赤な宝石が転がっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る