●atone-38:極致×クリムゾン
▼▼▼
河原の砂利を盛大に踏み散らしながら、目の前に迫った「丘」の剥き出しの土肌の裾には爪先を突っ込んでそこ支点で上方へと身体を持ち上げる。両手で道端に頼り投げに立つ標識を掴み曲げると、その反動でさらに上へ。焦りのあまりもういろいろと破壊を尽くしてる感はあるけれど、すいませぇん、と頭の中で叫ぶに留めて、私は走る。
駅前方向……「イド」の方角だ。そこに、「何者」かがいる。異質な……「光力」を有した、何か……「骨鱗」とはまた別の何か。
……なんだ?
分からなかったし、不穏な感じしか受け取れなかった。だからもうこの目で確認するしかないっ。
前方を行く「下半身」は、左肩口から斜め下に向かって走る切断面から、触手をまた展開しては、それら弾性のあるいくつかを建物とかにくっつけながら、その反動で断続的に加速してるよとんでもねえな……
だが、ジェネシスの「
いやな……いやな予感がする……っ、何か、途轍もない何かが……
ジェネシスの金属の機体は、風を巻き込みながら、金切り声のようなけったいな音を発しながらも、大通りに入ってからは一直線に北へ。
と、そこまで疾走を続けてきた機体の脚が自然と止まる。それはまあ、操縦をしている私が思わず止めてしまったのだけれど。止まらざるを得ない光景が、私の見上げた視界の中で展開していたのだった……
「……」
天空のさなかに、ジェネシスにとてもよく似た鋼鉄兵機らしきものが、浮いていた。
え? 飛べるもんなの
しなやかな……何と言うか、「華奢さ」を感じさせる
でも引き上げてから
そんでも今、作動しているということは、「死んで」なかったってこと? そんなことって……あるの?
もう理解の範疇を軽く跨ぎ越えている「現実」に私はただただ呆けたまま、その場に立ち尽くすばかりだ。どういうことなの。
▽▽▽
とんでもない事態は、絶賛更新中のようであり。
勢いで上空に跳ね飛んだ私だったけれど、その跳躍の頂点で、あやうく頂点に達しようとしてしまうところを、何とか理性という名の鎖で絡め留めることが出来ていた……
出来ていたものの。
のけぞった姿勢のまま、鼻から何回か深く息を吸い込み吐き出して落ち着こうとしてたけれど、何でかわからないけど、
と、とにかく、急に動くことはあぶない。一気に理性が吹っ飛ばされちゃうよぅ……
落ち着こう。なぜ私はこうなった? と、答えは出無さそうな自問に大脳から脊髄までが固まりそうな感じなのだけれど。
と、
<な、何という神々しい姿や……自分はやはり、ワシの求めていた『モノ』に他ならんちゅうことやで……>
斜め下にいた「一本脚」が、のけぞりながらそんな感嘆じみた言葉を発してくるものの、あ、いや、何かもう一個、同じような個体が走り込んできて「合体」して二足歩行っぽい
<……ならば、喰らうッ!! その規格外の『力』ッ、それごとワシの腹に収めさせてもらうさかいにッ!!>
「完全体」となったっぽい「軽石」の奴が、そんな興奮極まりない鼻息(鼻は無さそうだけれど)で上空の
刹那、だった……
動作をする度に、抑え込むのが困難なほどの
その流線形を描く、しなやかな両腕に力が集まったのを感じた瞬間、そいつ向けて拒絶の意のように差し向けていた両掌から。
「!!」
とんでもなく目に来る「
既に敏感になっていた「私」の清らかな裸身にも、その
<ふみゅぐぐぐうぐぅぅぅぅぅうぐぅぅぅぅぅぅぅん……ッ!!>
抑え切れようもないようなそんな絶叫と共に、意識全部がどこかへ
<んんんんんんんんーッ!!>
眉根に力を集め、鼻穴おっぴろげつつ、下唇を巻き込みながら噛みしめ、何故か操縦桿の根元付近に付属されていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます