第4章

1.アリーシャの頼み。








「え、部活の助っ人?」

「うん、そうなんだ! 実は明後日試合があるんだけど、部員が二人ケガしちゃって! 試合に必要な人数が揃ってないんだよ!」

「それで、私とフィーナさんに助けを、ということですか」


 それはある日の放課後のこと。

 その日も一日の授業を終え、寮に帰ろうとしていた。

 すると、いつもなら部活にすっ飛んで行くはずのアリーシャから呼び止められたのだ。――で、冒頭の会話に繋がるということ。


「二人とも、魔法学の成績悪くないし。いずれ護身術として使うんだから、実戦形式の試合をやっておいても良いと思うんだよね!!」

「まぁ、たしかにそうだけど。どうなんだろ?」

「私は構いませんが……」


 僕とアーニャは顔を見合わせる。

 親友が必死に頼んでいるのだから断るのは心苦しい。

 それに将来役に立つと言われれば、それは事実だと言えた。もっとも、僕はここを卒業後は男子の学園に入学するから、微妙といえば微妙。


「ほんっとに、お願い! ――一生のお願いだから!!」


 と、モヤモヤしているとついに必殺『一生のお願い』が出てしまった。

 ここまできたら、もう断れないだろう。それにその必殺技が出なくても、きっと僕とアーニャは手を取っていたはずだ。


「分かったよ、アリーシャ。アーニャも、いいよね?」

「はい。フィーナさんが、そう言うなら」

「二人ともありがとうぅ~っ!」


 だから、笑顔でそう答えると。

 アリーシャは大粒の涙を流しながら、僕らに抱きついてくるのだった。

 そこで改めてアーニャと顔を見合わせて笑う。


 というわけで、ひょんなことから僕たちは助っ人として競技魔法をすることになった。しかしこれが思わぬ事態を招くなど、




「まぁ、なんとかなるか……」




 この時の僕は思いもしなかった……。



 

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