第6話 2年後

「おい、聞いたか?また迷宮で彼奴が現れたみたいだぞ」

「彼奴って、あの低級魔物を気が狂ったように切り倒していくソロ剣士のことか?」

「あぁ、奴だ、、、低フロアの魔物を全滅して他の奴に迷惑かけている奴」

「またかよー、、ってことはヒヨッコどもはまた獲物が無くてテンパるわけか?」

「あぁ、だけど今回が最後かもしれないぞ。」

「なんでだ?」

「後数日で大型クランの奴らが重い腰を起こすらしい」

「あっちゃー、じゃあ、そのソロ剣士様も終わりだな」

「あぁ、そうだな。やっと後輩の愚痴を聞かずにすむぜ。」


ここは冒険者ギルドが経営している大衆食堂と酒場。

一日の疲れを安い酒で洗い落とす場所、そして冒険者達が聞いた情報や噂を交換するところでもある。


「そういえば、聞いたか?2年位前に南で起こったスタンピードの発現場所が見つかったって話」

「あぁ、街のお偉いさんどもが言ってたあれか」

「どうも、襲われた街の近くの森で見つかった迷宮から来たらしい」

「よく分かったな」

「あぁ、どうも街を襲った上級の魔物だ中に入っていくのを見かけた奴がいたらしい」

「へぇ、なんか興味が湧いてきたな。どうだ?一つの街を半破壊した魔物達がうじゃうじゃいる迷宮へ俺とお前でちょっと腕試しにいかないか?」

「勘弁してくれよ。俺はお前みたいに放浪する冒険者じゃないんだ。それに家族になんて言えばいいんだよ、、、」

「はっはっは、そうだったなお前が珍しい家族持ち冒険者なのを忘れてたぜ」


そんな賑やかな酒場の外で闇に溶け込むように隠れながら聞き耳を立てている者がいた。

その者はそんな酔った冒険者達の話をある程度聞き終わった後、そっと誰にも気づかれずに酒場を離れ、裏道を通りながら街の門の方へ向かっていった。

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アニマメア・クレーモァー成り上がり剣士冒険記ー @Lyuh

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