第6話清き流れの汚濁
B-BOX車内
「行方不明の
「だが、ここで事件は終わらなかった。と、そういうことだろう?」
討洞さんはこちらに目を向ける。腕を組み、ソファにもたれかかっているが、それはリラックスしているというよりも、獲物を目の前にした猟犬のように見えた。
「はい、そのグループは口をそろえて、失踪については知らない、と。信憑性が薄いとみていたのですが、先ほど咲村さんから送られてきたデータによると、一人の人物が浮上しました。」
僕はタブレット端末を見せる。画面には、黒い髪を肩のあたりで切りそろえて、大きい、飴色の目に薄い桃色の唇、形のいい鼻に色素の薄い肌を持つ彼女は美少女、と言っても差し支えの無いほど端正な顔立ちをしておりこちらに向けるその微笑みは、見る者の心を安らげるような、ある意味神々しさをたたえていた。
「
「さっきの三木田という女か。」
と、彼は僕の方に右手を伸ばした。大きな火傷が手の甲に見える。
「すまないが、少しその女の情報を見せてくれ。」
と、あ、と言ったときには遅い。彼は僕から端末を奪い取った。
この事件が、御津白河女学園内だけの事件であったなのなら、僕らが招集されることは無く、シティ62内の警察の取り扱いになっていただろう。しかし、事件はシティ62全体でも起きているのだった。
変死、そして行方不明事件がこのところ多発しているのだ。発見された遺体は、顔が薬品によってグズグズに溶けていたり、猫やカラスに遺体を食い荒されていたり、ともすれば、全身が一度切断されてからまた繋ぎ合わされているなど、あまりにも残酷かつ、人としての道を外れたような。
しかし、奇妙なことに、そのいずれにも防腐処理がなされているのである。
専門家の目からすれば、素人がやったようなものであるらしいのだが、少なくとも防腐処理がなされているというのはあまりにも異質であり、これこそトクハンの出番である。というときにこの失踪事件が発生した。
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