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僕はクスリと笑った。


本のタイトルはこうだ。――「異世界転生した先は剣と魔法に溢れた星」


このタイトルを送ってくるのはあまりにも嫌がさせすぎるな、と思ったが、逆に滑稽に感じて読み始めた。


ある日交通事故で死亡した高校生男子が目覚めると、そこは見知らぬ星だった。そこは魔法の世界で、RPGのような中性的世界観で、街の武器屋で手に入れた装備を身につけ、街の者から依頼を受けて魔物に溢れる森林へ向かう。そこで魔物の群れの中に美少女を見つけ、死闘の後、主人公は彼女を救い出す。街へ帰ると実はその美少女は高貴な家の娘で、彼は英雄として迎えられる。


あまりにも使い古されたストーリー。主人公の男はそんなシナリオに文句一つ言わず、正義感ある好青年を演じ続けた。


その小説の主人公が僕だったとしたらどうだろうか?展開の読める話に文句を言う?何の新しさもひねりも無い舞台設定に文句を言うだろうか?


とんでもない。僕の目の前には何が広がっている?「剣と魔法に溢れた星」と比べて、どちらが良いかという質問は、呆れるほど愚かである。

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