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そんなとき、けたたましい警報音。耳をつんざくような、ジリジリという擬音が可視化されるような警報音。
――緊急事態発生!!!今すぐ機体の切り離しを行う!!!機体の軌道と小惑星の軌道が事故的に被って閉まったため、切り離せざるをえなくなった。後方の者は直ちに前方の機体へ行くこと。前方は地球に帰還し、後方の機体は火星へとそのまま進むことになる。火星に行きたかった者も、死んだ体でだという条件でなら、諦めも付くだろう。直ちに前方に移動せよ。
僕は一番後方にいた。そして――あれ、これもしかしてやばいのでは?丸いガラス窓に大きな影が映った。すぐ側まで迫った小惑星だった。
「ぎゃあああああ!」
と同時に轟音が鳴る。小惑星との衝突音ではない。明らかな機械音――機体が切り離される音だ。
「お、おい、ちょっと待てよ!親父!それでも親か!くそぅ、マジか!」
離された後方の機体に僅かな回転方向の運動が生まれる。機体が切り離されたからだろう。機体に勢いが付いて、小惑星をギリギリの所で避けた。過ぎ去った小惑星の後に、前方の機体が映った。
向こう側もこちらを向いていた。丸い窓ガラスが、僕の方を向いていた。しかし僕とは対照的に――恨みがましく睨み付ける僕とは対照的に――父親は気まずそうに目を逸らしていた。僕はガラスを叩いた。
「マジかよ!僕、本当に宇宙に置いてけぼりにされてるんだ……」
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