1-3

勢いで宇宙へ行くことになってしまった僕だが、なんの下準備もしていない宇宙は無情だった。当たり前だ。乗組員たちはこの日のために厳しいトレーニングをこなしてきたのだ。無重力の中、体を動かすどころか、じっとしているだけでも骨がいる。


星人ほしと、お前はここでじっとしていろ。俺達はやることが山ほどある。おまえにかかずらっている暇はない。」


と言われましても――。前身の筋肉が悲鳴を上げる。1年分の筋肉痛を貯金して一気に放出した感じ――。喉が渇いても、水さえ飲めない。寝ようと思っても、体の痛みがそれを許さない。


寝ていたというより、気絶していただろうか――。一日くらい経過したような感じがする。丸いガラス窓から見える外の景色は真っ暗で、時間の感覚がまるでない。地球も随分小さくなってしまった。乗組員は地球は青かったとか言って感動したのだろうが――もうその時期は過ぎてしまっていた。

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