第17話 女神、奴隷化計画

俺の予想は寸分の狂いもなく、リンシャンテンは十日たっても借金を返済することができなかった。


「わぁ~! すみません健作さん、お金もう少し待ってください……」

「別に待つのはいいが、利子がどんどん増えていくぞ」

「わぁ~~! そうでした……どうしましょう……」

「ふっ……仕方ない、ならば利子は無しにしてやってもいいぞ」

「え! 本当ですか! そうしてもらえると助かります」

「ふっ……だが! 俺も慈善事業で商売やってないからな、何か見返りがないとダメだな」

「商売だったんですか!」

「そこは指摘するとこじゃない。それより何を見返りにしてくれるんだ」

「え……う……お金の代わりになるようなものなってないですし……どうしましょう……体でも払えませんし……」

「まあいい、それではこうしよう、超巨大な貸しをということで、これから先に何かある度に、ちょっとづつ返して貰うことにしよう」

「ちょ……超巨大ですか……フレーズがちょっと怖いですけどそれでいいのであれば……」

よし、これから先、これをネタにどんな無理も言えるようになるぞ。もはやダメ女神は俺の奴隷だな……



そんなダメ女神だが、やはりと言うか当然と言うか、借金を返すアテは歩合しかなく、これ以上ないくらいに俺にゲームの進行を催促し始めた。


「お願いです、せめてチュートリアルやりませんか! アレはいいですよ〜報酬が素晴らしいんです、お金も貰えますし、全然大変じゃないのでやりましょうよ」

「だから俺は説明書も見るのも嫌な人間なの! チュートリアルなんて面倒臭い事やってられるかよ!」

「本当に報酬が豪華なんですよ、課金アイテムも貰えますし、絶対お得です、私が出来る限りのサポートはしますので、お願いします!」

「……課金アイテムだと……それがあればどうなるのだ」

課金アイテムとは通常ではリアルなお金で購入しなければ手に入らない至高の存在……ゲームをあまりやらない俺でも知っている常識だ。

「はい、まず、ガチャが引けます!」

「ガチャだと……それは何をするものなのだ」

「ラーフィアの課金ガチャは三種類ありまして、一つは装備ガチャ、もう一つは素材ガチャ、そして一番のオススメは召喚ガチャです」

「召喚ガチャと言うからには何かを召喚するのか」

「はい、NPCの仲間キャラを召喚できるのです! 私と違ってちゃんと戦闘してくれる仲間が欲しくないですか!」

「……まあ、バカなだけの女神よりは魅力を感じるな」

「ですよね! そうなんですよ、私なんかより全然役に立つ存在なんです!」

「自分で言うな自分で!」


まあ、奴隷が増えると思えばそれも悪くないか……チュートリアルは面倒臭いけど、ほとんどバカ女神にやらせればいいだけだしな。

「いいだろ、チュートリアルをやってやろう……しかし! これも超膨大な貸しの一つになることを忘れるなよ」

「超膨大な貸しですか! 少し前に超巨大な貸しができたばっかりなんですけど……」

「嫌なのか!?」

「いえ! 問題ありません!」


と言うことで人生で初めてチュートリアルなるものを経験することになった。


「それでどうするのだ」

「ステータス画面からチュートリアルの項目を選択してください」

「ステータス画面だと……なんだそれは……」

「あっ……そうですね……普通はオートで始まるチュートリアルでステータス画面の開き方とか覚えるんですけど健作さんは全てすっ飛ばしてますから……」

「いいから早く教えろよ、バカ女神!」

「えっ……ええと……まず右手を上に上げると、青いボタンのような光が右隅に現れませんか」

「こうか、おっ、確かにあるな」

「それに触れてください」

「こうだな、おっなんか変な画面が目の前に出たな」

「それがステータス画面です、健作さんの今の状態がそこで確認できます」


「なるほどな……あれ、俺のレベルが38まで上がっているが何かの間違いじゃないのか」

「38……え! 本当ですか! ちょっと待ってください」

そう言ってバカ女神も自分のコンソールを開いて何かを確認する。

「本当ですね……どうしてそんなに一気にレベルが上がったんでしょうか………あっ! そうか、わかりました……ミュレイさんを倒した時の経験値ですね、ミュレイさんはすごい高レベルですからそれを倒した健作さんに膨大な経験値が入ったと思われます」

「ほほう……それではレベルを上げたくなったらミュレイに頼めばいいのだな」

「そうですけど……あまり良いレベル上げの方法じゃないと思います……ちょっとチート臭いと言いますか……インチキと言いますか……」

「馬鹿者! レベル上げに良いも悪いも無い! レベルは上がったもの勝ちに決まっているではないか!」

「はぁ……そ……そんなものですかね……」


下僕女神はちょっと納得はしていないようだけど、もはやコイツは俺の奴隷だ拒否権などない。

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