第十八章 ―求める声・求める絆―

………し……ん………。


聖人の声が俺の脳内に響く…。


聖人は俺を…俺の助けを求めている……。


俺の中に眠る一族の力を全て使って聖人を感知する…。

弱々しいが微かに感じる……。

近くにいる…そう感じた……。


「聖人っ!! 俺を呼べっ!! 俺を求めろ!!」


声を張り上げて聖人のわずかな気配を辿る…


………し……ん………。


「聖人っ!!」

神は駆け出した…そこに道はないのに…でも、神には見えていた…。

聖人へ繋がる細くて長い道が……――。


目を開けたいのに開けられない…何かが…誰かがこのまま眠れとオレに言っている……。

そんな気がする……オレ…このままもう神には会えないのかな……?


「聖人っ!! 俺を呼べっ!! 俺を求めろ!!」


………し……ん……………?


まさか…神が来ている? 神がオレを探している?


声を出したいのに何かが邪魔をする……神がオレを呼んでいるのに…。


……会いたい…会いたいよ…。


オレはここにいる…神…オレはここにいるんだ!!


「…ん……し…ん……しぃぃぃーんっ!!!!」



聖人の全ての力を振り絞った神への想いが今、解き放たれる…――。


パァァァァァァァン――――――。


「うっ!!」


突如明るい光が神を覆う…。



「うわっ!!何だあの光は……。」

「きっと、聖人と先生じゃ……。」


遠く離れた場所で二人の行く末を見つめる翔と優――。


「オレ達には届かない何かがあるんだな…。」

「うん…だから…僕達は信じて待とう?」

「あぁ………。」


お互いの手を取り合い、光の放つ先を見つめる…――。

何も出来ない無力なオレ達だけど、聖人の帰りを待つ事位は出来るから…。

帰ってきたら真っ先にお帰りなさいって言いたいから…。


神は二人の待つ場所へ、聖人を連れて帰れるのか?

聖人は神の元へ帰る事が出来るのか?



「………っ何だ今の光は…?」

不思議な光は消え、先ほど居た場所とは異なる所へ辿り着く…――。

「聖人はここにいるのか?」

辺りの様子を伺いながら先へと進む神……――。


「ん?あそこが出口…か?」

少し先へ進んだ所に小さな明かりが見え、ゆっくりと足元を確かめながら1歩づつ前へ進む神。


小さな草木を掻き分けると、そこには大きな湖とその中心に何百年…いや何千年も昔からあるだろうと思われる大樹があった……――。


そして…その大樹の中心に聖人が眠っていた……――。




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