第十三章 ―手渡された雑記帳―

「何で開けないんだ?」

「…何だろう…僕達が開いてはいけない様な……。」

「…胡さんも開く事は出来なかったの…。」



「「え!?」」



聖人の父親でさえも開くことの出来なかった雑記帳…。

中に何が書いてあるかはわからない……。



「誰なら開けるんだろう…。」

「とにかく先生に聞いてみよう!! ありがとう姫子さん。」


「……えぇ…聖人を…お願いします……。」



翔と優に背中を向けて、後を託す聖人の母、姫子…。

彼女の思いを胸に、開かれない雑記帳を手に二人は神の元へ向かう…。



「…生徒たちが戻って来たようなので失礼しますよ…河流さん…。」

「あぁ……聖人を…頼む……。」


初めて聖人を誰かに頼みたい程大切だと感じさせた…如月 神という男…。

彼を信じて胡は待つ…次に聖人が帰って来た時に『おかえりなさい』と言える様に…。

精一杯の…17年間離れた時の辛さを考えて、与えてこなかった…いや与えたかった全ての気持ち…愛情を示す為に……。


「気をつけて行きなさい……。」

「はい…。」

「わかりました…。」


すれ違う二人に聖人を託す胡…。

初めて聖人への感情を露にした胡の気持ちに気付く翔と優の二人……。



今、再び物語りは動き出す…聖人を救う旅へ出る為に…。

一冊の河流一族に残された封印された雑記帳を手にして……――。



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