第十一章 ―語られる過去―

「今から話すところには私も行った事がない…もちろん姫子さん…聖人の母親もだ………。」


「ただ…ある条件を満たせば辿り着けるって言っていたわ…。」


胡と姫子それぞれが思い思いに語り始める…。


「我が一族の言い伝えでは、禁忌の子が行けし禁断の世界があると言う…。それが何かは分からない…ただ、正当なる河童一族の者は行く事が出来ない…もちろん君達人間や河童狩り一族の者達であっても……君の高祖母と禁忌の青年が出会ったのは偶然なのか、はたまた起こるべくして起こった事なのか分からない…禁忌の者が扉を開けば入る事はたやすいだろうがな……。」


「それだけじゃ何も分からない…その禁断の世界にはどうやって行けばいいんだ?」


「それは私には何とも言えないわ…ただ前に胡さんがそう言っていたの…。」



『光と闇を繋ぐ橋を渡り、清らかなる心持ちて真と向き合え…さすれば扉は開かれん…』



「光と闇を繋ぐ橋? そんなんじゃわかんねぇよ!!」

「もっと具体的に表せるモノはないんですか?」



翔と優に焦りが生じる……。


「…光と闇…河童一族と禁忌の子…そういう考え方も出来るな…だが、人間と河童…河童一族と河童狩り一族…という見方も出来るのか…?」



悩む神も答えを出せずにいる……。



「……やはり俺には救えないのか? 光と闇の橋って何なんだ?」


答えを出せずただイライラする事しか出来ない………。


『ねぇ神……神は夢の中の世界って信じる?』


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