第四章 ―聖人と神―

最近先生はオレに対して優しい気がする…。

いや、いつも優しいけど何かが違う…。

……オレに隠し事? まさかね…。

でも、分からないことはたくさんある…。

先生の一族のこととか、先生の知っているオレ達の一族の秘密とか…。

先生は何も言ってはくれない、オレは怖くて聞けない…。

聞いたら…先生はオレの側から消えてしまいそうだから…。


「あのさ…先生…。」

勇気を出してもなかなか言えない

折角ここは先生の部屋で周りには誰もいないのに…。

「ん?どうした聖人…。」

「いや…何でもない…。」

これじゃあただのヘタレだし…。

「聖人、知りたいことがあるんだろう?」


!?


「せ、先生…。」

先生がゆっくりと近づいてくる…その雰囲気がオレには何とも言えない気持ちにさせる…。

「教えてやろうか?」

「え!?」

「お前が最後まで起きていられたらな。」

「ちょっ、せっ…せん…せ…。」


神に与えられる快楽にただ、ただ溺れていく…。


「し、ん…あっ…んん、し…ん……。」


「耳が弱かったよなぁ聖人。」

「や、やめ…神……しん……あぁっ!!」


ふっとかかる息が聖人の理性を奪っていく…。


先生は初めから教えてくれる気なんかない…。

なら、自分で調べるしかない…。

それが…どんな結果であろうと、オレは受け入れて前に進まないといけない…。


「神…オレ…あっ、あ…。」


激しい神の動きについて行けずただただ喘ぐことしか出来ない…。


「し………ん……。」


やっぱ大人って…ズルイよな……。


「悪いな…聖人……お前がここにいるってことは、お前の両親は何も知らないのかもしれないな…。 いや、知っててなお、お前に地獄を見せるのかもな…。」



壊れ物を扱うように大切に抱きしめる神…。



「聖人…俺は、自分の運命を……お前の運命を変えてやる…だから、まだ…今は何も知らないでいてくれ…。」



神は何を知っているのか?



神は何を願うのか?



聖人に一体何が起きているのか…。



ヒトでもなく河童でもない禁忌の子・聖人…。



河童を狩り続けた一族の末裔である神…。



二人の出会いは奇跡なのか?

はたまた必然?

偶然?

起こるべくして起こった事なのか…。



「…聖人…俺は…お前の運命を認めない……。」



神は何を思う? 聖人は何を思う?



答えを知るものは? あの書物に隠された秘密とは?



その秘密を知る為に、二人は闇の中に閉じ込められる…。



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