第五章 ―禁忌婚で生まれた子供の生態―

「…何かあるはずなんだ…一族の秘密が…父さんや母さんに聞いても、きっと答えてくれない…だから自分で調べるしかない…。」


この地区にある一番大きい国立図書館の立ち入り禁止と書かれた部屋で、聖人は一人で一族の事を探す……。

かの昔に行われた河童戦争の時に、二度とこの様な迫害が起きない為にその時代の資料は門外不出となっている…。


「…何処にあるんだ…?」


なかなか見つからない為に焦りが生じる…。


「ん? 随分厚みのある本だなぁ、これじゃ広辞苑と変わらない…ってコレじゃん!!」


かなりの厚みがある…こんなに沢山あるのかよ…。


ちょっとゲッソリしながらも、ページをパラパラとめくり始める…。


「へぇ…昔はオレと神みたいに敵同士の婚姻もあったんだなぁ…ってオレと神は結婚してないけどさ。」


一人でボケツッコミを行いながらも、黙々とページをめくっていく…。


「え……!?」


ドサッと重たい書物が落ちる…。

丁度開いたページには、聖人を絶望させる一言が書かれていた。


―禁忌婚で生まれた子供の処分について―


「え…? 処分……? 処分って何だよ……。」


オレはモノかよ…そう言うしかない気がした…。


「神は…神は知っていてオレといるのか……?」

いずれ処分されるから…だから今の間だけ、いい夢でも見させてやろうってか?

…何だよ…だから……父さんも母さんもオレに愛情なんてモノくれなかったのか…?

「神の愛情も……与えてくれたモノも……全部ウソだったのかよ……。」

……オレは…どうしたらいいんだ……。


聖人の心の中の遥か遠くで何かが壊れる音がした……。

それは、これからの聖人を大きく変えた……。

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