第11話 再開
ウィルが倒れてから2時間後……
「おはよう!……あっごめ〜ん、また倒れたんだ」
勢い良く跳ね起き、皆に声を掛ける。
「おはよう!じゃねぇーよ、限界まで力を使い果たす癖直さないとひでぇ目に合うぞ!」
グランは、半ば呆れながら首を左右に振り、現状を喋り始める。
「ウィルが倒れてから何も起きてないぜ、まぁこの結界解いたらわかんねぇけどな」
カッカッカッ!グランは豪快に笑い始める。
「ヨーシ、そろそろ出発と行こうじゃねぇか?もう準備は出来ていることだしな」
エリン達は黙って頷く。
「遅れを取り戻そうじゃないか?ウィルよ」
「そうだね、サッと行って切り出し終わらせよう」
「その前にお客さんみてぇだそ?わんさかいるな〜」
「そりゃ不自然な領域は狙われるよね?」
アクティブなダンジョンでは、モンスター達の強者(群れのボスなど)が
存在する。 奴らの嗅覚は、不自然な領域こそ獲物がいると嗅ぎ分けて来るのだ。
今回は、リザードキングという、所謂グランのいうところのトカゲの親玉が子分を連れてやって来た状態だ。
キッ!
指令を出すリザードキング
陣を組むリザードマン達、組織的な動きで間を詰め、今にも襲った来そうだ。
そこでグランが皆の前に立ち、言い放つ!
「ウィルよ、本気で片付けて良いな?」
闘気を纏ったグランが丁寧な言葉遣いで呟いた。
「分かった!結界張って待つよ!」
何をやるか察したウィルが間、髪容れず、結界を展開する。
怒気を孕んだ闘神像の様な赤く燃え上がった巨大な闘気を放出する!
「二刀一閃乱打……!!」
巨大な闘気纏ったショートソード2本から空間を裂くほどの衝撃が音もなくしかも乱れ打ちされる。
チャッキ……
腰の鞘にショートソードをしまう音だけが静かに響く。
「相変わらず、えげつない技だよ!結界もボロボロだし」
終わったのを見届けてウィルが文句を言う。
その瞬間、パリンッと結界が音を立てて砕け散った。
「ふぅ、久々に打ったが鈍ってないなぁ〜、準備運動にちょうど良い」
ニヤリとウィルに笑い返す。
エリン達は、呆気に取られていた。
(エリン:何よ、コレ!ウィルはこんなのと練習してるの?? リリア:知らないわよ!私達も練習するって言ってなかった?)
フード下で2人の顔が青ざめていた。
リザードキング達は勿論、全て真っ二つになっているのであった。
「さて、時間取ったな〜、まぁ魔物避けは善し悪しってことだ。気をつける事だな」
グランは2人に向かってウィンクひとつ
手を振りながら石切場へ急ぐのであった。
その後もオークやゴブリン、コボルトなど雑多に現れる状態に辟易しながらグランとウィルは一匹一匹一撃で仕留めていく。
「なんかモリモリな感じだな?国の奴ら仕事(間引き)サボってやがるか?」
「さっきの呪物の影響じゃない?いつになく活性化してるみたいだね」
かなりの数を倒してるにも関わらず、息も切らさず、2人で談笑している。
そして、石切場に到着するのだが……
「冗談キツいな、絶対アランの奴に吹っ掛けてやる!」
「まだ元気だけど、コレはどうしようね?」
何故か目の前に1匹の巨大な隻眼の古赤龍がアクティブ状態(敵対状態)でこちらに対峙してるのであった。
『どうする?手伝うかな??』
『さすがにネームドの古赤龍は手に余るんじゃない?』
影の中からウィルにアランから思念話が飛んでくる。
『大丈夫だよ!あの程度のネームドであればね?。でも出来れば王国の方々を眠って貰って欲しいかな?』
ウィルが答える。
『了解!派手に決めるんだね?』
『グランさんにはあまり見せたくないんだけどね』
王国の方々が意識をなくすのを、見てからウィルは先程のグランと同様に闘気を練る。
氷の女王と呼ばれる神の如く、巨大で蒼くて澄んだ闘気を練り上げる。
グレートソードに蒼い闘気が纏われ、その状態で古赤龍に対峙する。
「グランさん、防御宜しく」
グランはいうより早く、表面に闘気を纏い剣を構え防御する。
「蒼神両断!」
突然足元に冷気が流れ始め、巨大な赤龍に蒼い縦線が走り、ズレる。
ウィルを狙おうとした前鉤爪は途中で止まり、古赤龍は左右別れて真っ二つになり倒れていった……
『ウィルらしい技だけど、寒いよ?(笑)』
思念話で文句を言うアンリに影の中で寒いわけないでしょ?とツッコミ返すのであった。
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