第9話 エグランス攻略 3

爆風の中、信じがたい光景を目にすることとなった。

周りに居たレイス達は散ったのだが、2m大のドス黒い核があり、散った側から核よりわき出る。


 グランは一瞬の核の状態に切りつけに行ったのだが、核周りの魔力の奔流に一瞬で、弾き飛ばされる。


「とんでもねぇな、アレは!」

グランが毒付く。


2人掛かりのとんでもない威力の合成魔術ですら、レイスの存在を消し去っただけという事実にグランや魔道士達は半ば、呆れて果てていた。


そこにウィルが現れる。

「みんな、お待たせ!」


ニコニコしながら、空気を読まずに歩いてくる。


「どうかしたの?ああ、核が壊せなかったんでしょ?大丈夫折り込み済みだから」


 そして武器を渡し始める。


「ウィル、説明しろ!訳が分からん」

長い付き合いのグランですらウィルが平常心であることの理由が分からない。


「レイス自体もあの状態では厳しいのだけど、中にレイスを無限に集める核を最初サーチの状態で発見したんです。丁寧なコーティング付で!それを剥がすための武器を急造で作りました。僕は皆さんが剥がし終わった後に核を封印します」


 まだ、ポカンとしているグランや幼馴染やお付きの方々を代表して幼馴染ズがまだ落ち着かない呼吸で話し始める。


「核って何?こんな開拓の進んだ王国管理ダンジョンで即死級トラップを仕掛ける意味が分からないわ」

「合成させるためにそれなりに魔力は押さえたけど、レイスぐらいなら消滅する筈よっ!」


エリンとリリアが交互に息も絶え絶えに喋る。


……ウィル、流石に省きすぎだよ…

指定念話で影に潜む子からも突っ込みが!

時間ないんだけどな

まだ、助けに出ないつもり? 影に向かって念話を送る。

……ウィルが居るなら出番無いよね?…

クスッ

笑われてしまった。

さてと隠してた情報の一部をだして信用して貰おうかな?


「ここに本来あるはずの無い呪物だよ!このダンジョン並みに古いね。教会本部に厳重に封印されていた筈なんだ。あとで問い合わせないとね。そろそろ最後の仕上げ儀式に入るから頼むね」


一同、各々が武器を取り、納得いかないまでも再び、レイス塊に向かっていった。


さて、続き

……地面に陣を書き、スペルを描く。

…スペルに方向別に動物の血を流す。

…起動、スペルに自分の血を一滴垂らす。

…聖杖(仮)を聖水で清め、薔薇の香油を杯に垂らす。

…最後に薔薇をとある方向に投げる。


 よし、此で聖言を唱えればいけるかな?


- 場面変わって、レイス塊側


「なんだ、この武器。急造にしては威力半端ないな。」


 グランがレイスを消滅させながら呟く。


「私達の魔法も聖属性が上乗せされます……信じられない!」


 驚きの表情でエリンが呟く。


「皆さん、気をつけて下さいね。耐久性が無いみたいです、この武器」


 リリアが罅の入った杖を見せる。


「流石に急造って事だな。ウィルの準備が終わったみたいだぞ!誘導するぞ。」


-ウィル側


「グランさんが気が付いたね。後ろに眼が付いてるのだろうか?さて、ここが正念場だね。」


 聖杖を持ち上げ、レイス塊に向け、聖言を唱え始めるのであった。 



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