第83話
「ベン、リドル、喧嘩をしてはダメよ。
クレア、ノエミ、ミレナ、仮眠してください。
今から八時間は私が面倒見ます」
「ですが皇妃陛下はミレイ皇女殿下の育児で疲れておられるのではありませんか」
「そうです皇妃殿下。
私達は交代で休憩を取っていますから大丈夫です」
「そうです、私達は十分休憩させていただきました。
皇妃陛下が一番お疲れのはずです」
カチュアは股肱之臣と言ってもいい、三人の戦闘侍女を休ませたかった。
三人の人族女性戦闘侍女が、ベン皇子だけでなく、リドル皇子の世話と見守りをするようになっていた。
ベン皇子とリドル皇子が魔力を暴走させてしまったら、魔力中和の魔道具がなければ、三人など簡単に死んでしまうのだ。
精神的にも肉体的にもとても緊張した状態で、ベン皇子とリドル皇子を見守りお世話しなければいけない、とても大変な役目を続けてくれているのだ。
疲弊していないはずがないのだ。
カチュアは全ての時間を使って、ベン皇子とリドル皇子を仲良くさせたかったが、生まれたばかりのミレイ皇女を優先するしかなかった。
それでも、ミレイ皇女の育児をしながら、ベン皇子とリドル皇子も一緒に遊び学ぶようにし導いていた。
「わん、わんわんわんわん」
「まあ、ありがとう。
レオ達が手伝ってくれるのね。
三人とも聞いたわね。
レオ達が手伝ってくれるから大丈夫よ。
どうしても三人の手助けが必要になったら、使者を送るから、それまでは休んでいてね」
カチュアが驚くほど活躍してくれたのが、犬のレオだった。
カチュアから与えられた魔道具を駆使して、まだ人格が形成されていない、ある意味とても残虐なベン皇子とリドル皇子が、自覚なく魔力を使って殺し合う事にならないようにしてくれたいた。
その時に、レオの子供達も大活躍してくれた。
レオの子供達はとても俊敏に育っていた。
父親のレオが意識して鍛えていたので、訓練された猟犬や軍用犬のように、頭がよく人の心を読み取り、指示通り動ける若犬達だ。
若犬達がベン皇子とリドル皇子の間に入る事で、激しい兄弟喧嘩をさせないように、上手い関係が築けていた。
だまだま幼いベン皇子とリドル皇子だ。
魔力さえ不用意に使わなければ、遊び相手を殺すような事はない。
安全を優先するのなら、ベン皇子とリドル皇子の魔力を完全に封じればいいのだ。
普通なら不可能なことだが、カチュアが創り出す魔晶石を核とした、魔力中和の魔道具があれば可能になる。
だが、そんなん魔道具を無尽蔵に作ってしまったら、ベン皇子とリドル皇子を暗殺できるようになってしまう。
絶対に心から信じられる限られた人間にしか貸し与えられない。
魔力中和魔道具を作る魔法陣は、カチュア以外が知ってはいけない事だった。
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