第80話
「アレサンランド連合皇国皇帝、セントウィン大王国大王、ウィントン大公国大公、サヴィル王国王配、マクリンナット公爵家公配、アレサンド陛下のご入場!
アレサンランド連合皇国皇妃、セントウィン大王国大王妃、サヴィル王国女王、ウィントン大公国大公妃、マクリンナット公爵家公主、カチュア陛下のご入場。
アレサンランド連合皇国皇子、セントウィン大王国大王子、マクリンナット王国国王、サヴィル王国王子、ウィントン大公国大公子、マクリンナット公爵家公子、ベン陛下のご入場。
アレサンランド連合皇国皇子、セントウィン大王国大王子、マクリンナット王国国弟、サヴィル王国王子、ウィントン大公国大公子、リドランド公爵家当主、マクリンナット公爵家公子、リドル殿下のご入場
アレサンランド連合皇国皇女、セントウィン大王国大王女、マクリンナット王国国妹、サヴィル王国王女、ウィントン大公国大公女、ミレランド公爵家当主、マクリンナット公爵家公女、ミレイ殿下のご入場」
今度もまた家族そろっての入場だった。
だが今回はアレサンド皇帝はベン皇子を抱いていない。
それで純血主義の虎獣人族が安心したかといえば、そうではない。
今回の謁見でも、側室以下の妻妾が生んだ純血の皇子皇女達はお披露目されない。
お披露目されるのは、正室であるカチュア皇妃の子供だけなのだ。
新たに生まれたミレイ皇女をカチュア皇妃が抱いている。
ベン皇子は自分でしっかりと歩いている。
リドル皇子は乳母が抱いているが、その腕の中で興味深く檀下の諸侯を見ている。
その興味深々の眼が、いつか敵意に変わりそうで、恐怖を感じてしまうのは、普段からカチュアや人族との混血種に険悪な感情を持っている者だった。
異様に多い警備の者達は、注意深く謁見の場に集まった王侯貴族を観察している。
カチュア皇妃や皇子皇女達に、少しでも敵や嫌悪感を示した者を見つけ出し、日頃の行動を調べ上げるためだった。
ミレイ皇女を生み、また女性ホルモンのバランスが元に戻り、つがいのフェロモンを発しだしたカチュア皇妃の魅力に、アレサンド皇帝はメロメロのなっていた。
だから、カチュア皇妃に危害を加えそうな者を、どのような手段を使ってでも皆殺しにするという決意に満ちていたのだ。
いや、この場だけではなかった。
多くの密偵を王侯貴族の領地や皇都屋敷に派遣し、処罰が可能な悪事を働いていないか徹底的に調べ上げていた。
派遣されるのは虎獣人族だけではなかった。
潜入調査に能力を発揮する、他種族の獣人族も動員して、ありとあらゆる種族の王侯貴族の領地と皇都を調べていた。
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