公女は義母に婚約者を奪われ、心臓を食べられそうになり、城から逃げだしたと所を、武者修行中の王太子に助けられました。
第1話
「カチュア公女様。
どうかお逃げください。
アメリア女大公殿下が御命を狙っています」
「馬鹿な事を言わないで。
義母上は私をとても大切にしてくださっています。
そんな事をされるわけがありません」
「それはカチュア公女様の生血を啜り、生肝を食べるためです。
アメリア女大公殿下は永遠の美貌を望んでいるのです。
不老不死を望んでいるのです。
そのために、カチュア公女様を十五歳まで生かしていたのです。
今日の誕生日に、カチュア公女様を捕えるよう私に命じられたのです」
騎士イスファンの懺悔は、私には衝撃的過ぎました。
最初は信じられませんでした。
頭から否定しました。
私は義母上に本当に大切に育ててもらったのです。
ですが、証拠を見せつけられました。
イスファンの首には、醜い噛み傷がついていたのです。
そこで思い出したのです。
義母上に仕える近衛の騎士や侍女達が、首を隠すスカーフをしている事を!
更に恐ろしかったのは、暇をとって城から下がったと聞いていた若い侍女が、全員義母上に喰い殺されているというのです。
腹を切り裂かれ、激痛に苦しみ泣き叫ぶところを、生きた状態で肝を喰われるのだそうです。
それが、義母上の若さと美貌の秘訣なのだというのです。
それと、聞くのも不潔でしたが、男の精を啜るのだそうです。
生肝を喰らいながら生血と精を啜り、若さと美貌を保っているのだそうです。
私は恐怖に震えました。
泣き叫びながら逃げ出したくなりました。
それを慰めてくれたのは、翅蜥蜴のハクです。
全身が純白のとても珍しい翅蜥蜴です。
私の住む離宮の庭で死にかけているのを、偶然見かけ助けたのです。
それ以来ずっと一緒に暮らしてきました。
「カチュア公女様。
急いでお逃げください。
侍女がおかしな目でこちらを見ております。
アメリア女大公殿下のスパイに違いありません」
私は何も持たずに離宮から逃げ出しました。
世間知らずな私は、恐怖に囚われそのまま逃げ出してしまいました。
手に持っているのは、抱いてる翅蜥蜴のハクだけです。
本当は現金や換金できる貴重品を持ち出すべきでした。
いえ、それは不可能でした。
そんな事をすれば、離宮からすら逃げ出せなかったでしょう。
何故なら、離宮を出て直ぐに追っ手に取り囲まれてしまったのです。
義母上の側近くに仕える騎士が、私とイスファンを囲んだんです
「裏切ったなイスファン!
アメリア女大公殿下を裏切るなど絶対に許さん!」
「カチュア公女様!
私が囲みを破ります。
こいつらはカチュア公女様を生きて捕えなければいけません。
暴れて暴れて、死を賭して暴れてください。
必ずチャンスはあります」
そう言い残すとそう、イスファンは王宮から王城につながる門の方に斬り込んでいきました。
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