第7話オリビア視点

 次に現れたのが子爵のハリーだった。

 結論から言えば、足の骨を折って地下牢に閉じ込めた。

 両足首からの下の骨、踵骨と距骨、中足骨と足根骨を砕いてやった。

 これで逃げようと思っても逃げられない。

 この時には五十人ほどの兵士を手に入れる事ができた。

 もちろん死体、ゾンビの兵士なのだけれど。


 三番目に現れたのは伯爵のフレディだった。

 こいつは膝と足首の間、下腿の骨を砕いてやった。

 グシャグチャに砕いてやった。

 いずれ殺すので、骨が肉から飛び出すほど痛めつけてやった。

 この時には百人もの兵士を手に入れる事ができた。

 伯爵だけあって、王都にいる家臣兵士の数も多かった。


 だが子爵のノアと男爵のレオは現れなかった。

 彼らは適切に状況判断ができるのだろう。

 ジョージがもはや死に体、見捨ても報復できないと判断したのだろう。

 今頃は王都の警備隊に通報している。

 自分たちは危険を犯さず、判断を誤って万が一ジョージが生き残った時の事も考えて、安全な方法を考えているだろう。


 ですがこのままで済まそうとは思わない。

 なにがなんでも報復する。

 絶対に復讐する。

 夜になっても、王都警備隊はやってこなかった。

 だから夜になって、今まで手に入れた遺体の中で一番強い遺体を選び、ノアとレオの屋敷を襲撃する事にした。


 最初はジョージの屋敷に近い方、ノアの屋敷にした。

 遺体に板金鎧を着込ませ、ハルバートを持たせて走っていった。

 馬に乗せられたらよかったのだが、残念ながらゾンビを恐れた馬が恐慌状態となってしまって、とても騎乗して行ける状態ではなかった。

 だが三倍の早さと五倍の力があるので、完全武装でも意外と早くノアの屋敷を襲う事ができた。


 問答無用で殺した。

 ノアの一族を逃がすことのないように、老若男女関係なく皆殺しにした。

 悪逆非道な行為だとは理解していたが、一切手加減しなかった。

 そしてついにノアを追い詰めた。


 だがただ殺すだけでは満足できなかった。

 自分がされた事を思えば、できるだけ苦しめたいと思った。

 死んでしまってるからかもしれないが、人殺しになんの躊躇いもなかった。

 それとも、神を捨てたからでしょうか?

 いえ、それは違いますね。

 そもそもの、こいつらの行いを思い出せば、生きていようと死んでいようと、神を信じていようと悪魔を信じていようと、残虐下劣な行為とは関係なのです。


 だからその時思いついた、一番残虐な殺し方をしました。

 台所にあった火のついた薪を身体中に押し付けてやった。

 特に顔を念入りに焼いてやった。

 逸物も焼いてやった。

 激痛に痛みもだえ苦しむ相手を見て満足を覚えた。

 もっと長く苦しませたくて、息の止まる前に止めて、レオの屋敷に向かった。

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