第2話オリバー視点

 ロッキンガム侯爵からオリビアが自殺したと連絡があった。

 ありがたい話だ。

 これでまたロッキンガム侯爵から金を引っ張れる。

 ロッキンガム侯爵はオリビアが気に入ったようで、当初の約束から何度も延期し、その度に追加の金を支払ってくれた。


 だが殺すことまでは認めていない。

 表にだせない契約だが、もしでたとしても、伯爵の俺より侯爵の方が失うものが多いから、まとまった見舞金を払ってくれるだろう。

 まあ、やり過ぎたら殺されるから、ほどほどにしないとな。


 だが遺体だけは返してもらわなければならん。

 オリビアの実家に対面させなければならんからな。

 だが大丈夫か?

 侯爵の趣味は残虐だから、目立つ傷があるかもしれない。

 ここは事故を装った方がいいだろう。

 その辺の手配りと費用も、侯爵に押し付けよう。


 喪が明けたら、新しい嫁をもらわないといけない。

 今度はもっと抱き心地のいい女がいい。

 政略結婚の相手であっても、少しは楽しめる相手でないとな。

 オリビアは全く面白みのない女だったな。


「はくしゃくぅ~

 なにをかんがえてるの~

 もっとたのしみましょう~」


「おお、朝まで楽しもう」


 女はこれくらいバカな方がいい。

 神を信じて、あれはいけないこれはいけないなど言われては、面白くない。

 性欲を満たす相手は、商売女が一番だ。

 あと腐れがないし、色んな技を持っている。

 そんな技を貴族の娘に求めるのが、そもそも無理な話だからな。


 そうだな。

 政略結婚の相手など、金づるでしかない

 俺の子供を生んでくればそれでいい。

 今度も侯爵が好みそうな女を選ぶか?

 また買ってくれて、飽きて殺してくれたら、持参金で大儲けできる。

 侯爵がオリビアを殺してくれて本当に助かった。

 口封じのために、自分の手で殺さなければいけないかと考えていたからな。


 ガッシャ~ン


「なんだ?

 何事が起こった?!

 誰か侵入したぞ!

 急いで確認しろ!」


 侯爵か?

 侯爵が私の口を封じるために刺客を放ったのか?

 だがまだ金をくれと伝えていない。

 この時期に口封じに動くとは思えない。

 それに、こんな騒がしく襲ったら、王家王国が調査に動くのは確実だ。

 私は伯爵なのだ。

 伯爵が表立って殺されたら、間違いなく徹底的に調査される。

 侯爵がそんな危険を冒すはずがない。


 だったら誰だ?

 このバカ女の情夫か?

 それともこの前を嬲り殺しにした女の家族か?

 いや、騙して乙女を奪った男爵令嬢の家族かもしれん。

 とにかく今は隠れるんだ。

 隠れてやり過ごしてから、報復してやればいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る