第15話
「危険です。
少し距離をとってください」
「全員レオナルドの指示に従って。
槍兵は盾の間から攻撃して」
「「はい」」
このダンジョン内では、盾兵が二人並べば魔獣を防ぐことができます。
ですが魔獣の攻撃は強力です。
盾兵は両手両足で踏ん張らなければ、魔獣に吹きとばされてしまいます。
後衛のモノが反撃を担当しなければなりませんが、万が一にも味方の盾兵を間違って攻撃するわけにはいかないのです。
「スリング役は上を抜けてくる魔獣に備えて」
「「はい」」
このダンジョンには、コウモリのように空を飛ぶ魔獣もいます。
そんな奴は盾兵といえども防ぎ切れません。
弓を無尽蔵に使えればいいのですが、残念ですが矢の携帯数には限りがあります。
破壊力と命中精度は落ちますが、弾丸となる小石を現地調達できるスリングの方が、実戦では役に立ちます。
もちろん弓を疎かにしているわけではありません。
ちゃんと今回も弓兵が参加しています。
ですが温存しなければいけません。
残矢数を計算しながら、的確に使わないといけません。
今回はかなり奥まで行くつもりですから、今はまだ温存する時です。
「やったぞ!
視界内にいる魔獣は全滅させました」
ジューリオが騒いでいます。
少し虚栄心が強いところがありますね。
それに比べてレオナルドは奥ゆかしいですね。
前列が安定しているのは、盾役がしっかりしてくれているからです。
盾役が不安定で、魔獣に突破される心配があると、次列も中列も安心して戦えませんからね。
「レオナルドとローンはいったん休憩。
ロエルとクソールが入って」
「「「「はい」」」」
アンゲリカにチラリと視線をやりましたが、満足してくれているようです。
アンゲリカが見守ってくれていると、安心して指揮がとれます。
一日も早く、アンゲリカの補助なしで指揮が取れるようにならないといけません。
アンゲリカが自由に動けるようになれば、狩りの成果は格段に増えるのです。
ですが今は、それより大切なのモノがあるとアンゲリカは言います。
今一番大切なのは、私の団長としての威厳と信頼だそうです。
国を捨ててきた私たちには、強力なリーダーシップがとれる団長が、絶対に必要なのだそうです。
アンゲリカがレオナルドを見ています。
何かあるのでしょうか?
私もつられてレオナルドを見てしまいます。
面貌を外して汗を拭いています。
とても魅力的な笑顔です。
もしかして、アンゲリカはレオナルドに好意を持ってるのでしょうか?
ズキリと胸が痛みます。
アンゲリカの心に男の人がいると思うと、何ともいえない嫌悪感があります。
私は異常なのでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます