第79話 非存在の証明
「受けるのじゃ、光の裁きを……ジャッジメントプリズム!」
マリア姫が何やら強そうな魔法を使うが、やはりすり抜ける。
「受けなさい、ロイヤルグランドクロス!」
その一撃は、周囲を削り、大爆発を引き起こし。
が、やはりすり抜けている。
何故物理が当たると思ってしまったのか。
「当たらないとは言え、怖いからね。取り敢えず、逃げさせて貰うよ」
ドゥーアーが消えていく。
倒せない災厄……だと……?
向こうからの攻撃はあまり大した事が無いが。
俺達の攻撃は一切通じ無い、いや、危害を加えられない。
どうするんだ……こんなの……
あ、ちなみに。
華田を斬ったのは、マップスキルの災厄マーカーが反応していたから。
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焼け落ちた廃屋。
焼け残った机の残骸。
それを囲み、作戦会議。
「さて、今回も手詰まり……短期的には俺達を害する力は無いと思われるが、長期的に見れば人類の脅威……一刻も早い対処が必要だ」
今はこの国だけに留まっているようだが。
一般の人を洗脳、殺し合いをさせれば、あっという間に国が滅びる。
エメラルドやマリア姫でも抵抗が難しかったようだし。
俺も一瞬、意識を持って行かれかけた。
やはり、致命的な脅威……災厄である事は間違いが無い。
「対処法を伝えていた王家も滅びました。何か記録を残していた訳でも無さそうですし……」
エメラルドが困惑した声音で言い、
「能力は集団催眠、それ以外の直接攻撃方法は無さそうじゃな。厄介なのは、攻撃が一切当たらない事じゃ。何とかして、対処法を探すしか無さそうじゃ……」
マリア姫も疲れた声音で言い、
「僕の調べたところによるとね。ドゥーアーは、変幻自在の災厄……だが、それが弱点でもあるんだ。対処法は、非存在の証明……順を追って、4つの仮説を建て……それを証明する……非実在が証明されたドゥーアーは、存在できなくなり、世界から退場する……」
華田、もといドゥーアーが発言する。
「……災厄よ、お前に対する会議なんだが、何故お前がいるんだ?」
「いや、あの後考え直したのだけれど、実害が無いのであれば姿を隠す意味もまた無いのかと思ってね。君達も、本人が参加していた方が効率的だろう?特に、今の様な情報が少ない状況では、さ」
エメラルドとマリア姫が、微妙な顔をする。
俺も恐らく同じだろう。
明らかにおかしいのだが、確かに、無視できる話でもない。
「その情報が正しいという保証は?」
「宣言するよ。僕は正しい事しか言わない。会長なら、真偽を確かめる方法は有るでしょ?」
真偽判定のスキルなんて持ってねえよ。
<称号『正しいですよ』を獲得しました[1]>
正しいのか。
「……正しいのは分かったが、4つの仮説とは?」
「正しいんですか?!」
「分かったのじゃ?!」
「ああ、ごめんね、会長。ほら、僕って存在が怪しいだろう?5千年の間に変質してしまってね……さっきのは正しいけれど、昔の僕に対する対処方法……今の僕は、存在を否定されるとますます手が出せなくなる……違ったアプローチが必要になるんだよ」
「駄目じゃねえか」
王家に伝わっていた対処法が使えなくなっていたという訳か。
王家存続してても、どこも効果無かったのでは。
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