第47話 才無き者の戦い方
「万の策を弄し、億の成果を上げる……それが私の真骨頂。私を滅ぼす為の最強の剣は、私の剣と成り下がり……私に至る道も、新たなる剣を鍛える術も、破壊され……」
オラリドゥが、芝居掛かった仕草で、手を上げ、
「更なる絶望までも用意した」
新たに造られたアンデッド。
キース君が集めたアンデッド達より、強い。
素質がある者を集め、徐々に種をまいていた……そういう事だろう。
1人1人が、マリア姫クラス……
「お前が勇者だな」
「そうらしいな」
「お前には、感謝しているのですよ。育て上げたアンデッド達を、世界に拡散する為の秘策……それを、良く分からない方法で邪魔をして……」
……?
<称号『ほら、最初にクリアした緊急クエストですよ』を獲得しました[1]>
ああ。
「いや、お構いなく。あれはあれで、俺も得た物があったからな。気にするな」
「怒っているという意味ですよ?!」
「……全ては黄金律、そして因果。これ有るにより、彼有る、それだけだ」
「……なるほど、そういう事ですね」
オラリドゥが、唸り、後ずさる。
どういう事?
「かかれ!」
オラリドゥの叫び。
元シスター達が、ゾンビっぽい見た目に似つかわしく無い速度で、殺到。
「ホダカ!」
エメラルドの悲鳴。
カンッ
響く、金属音。
「「……え?」」
エメラルドとオラリドゥの間の抜けた声。
マリア姫は驚かないのか。
キース君との特訓の成果。
少々のアンデッドの攻撃では、俺には通らない。
空間が歪む程の密度のアンデッドに、連携攻撃でコンボとかされると、ダメージ通るけど。
ザンッ
剣の一振り。
元シスター達は無事昇天し。
ザンッ
余勢を駆って、オラリドゥを切り裂いた。
「……私は、慎重に準備をした」
オラリドゥが、ぽつり、と呟く。
「まず最初にやった事は、自らに定められた滅びの克服……」
ですよね。
貴方達、まず修行して弱点克服しますよね。
それ、ゲーム性崩壊するからね?
絶対駄目な事だからね?
「そして、念には念を入れ……異世界より召喚されし勇者の仲間どもを騙し、忌まわしき道標すら破壊し」
ストーリー上必要な施設の破壊とか、素材の根絶とか、やっちゃ駄目だからね?
今回はたまたま、別のサブクエストで入手済みだったから良いけどさ。
「なのに……何故、私は……滅びるのだ……?」
想像なんだが。
聖剣スキルに……耐性をつけたとしよう。
基準は、人が得られる限界値、10でも無効化できるようになったとして。
キース君とのボーナスステージで特訓した結果、俺のスキルレベルは1000以上。
つまり、想定した値の100倍以上。
まあ……倒せても不思議じゃないと思う。
前も思ったんだけど。
俺達が召喚される前に、さっさと世界を滅ぼしておいた方が良かったと思います。
「分からないか?」
「……分からぬな」
「お前は、人間を舐めすぎたんだ。才無き者には、才無き者の戦い方が有る。水滴が岩を穿つ……百の努力で届かなければ、億の努力を積めば良い。実力が足りなければ、工夫と……ハッタリと……全てを使って……不可能を可能にする。それが……人間なんだよ」
「……私が……視野が狭かった……と……」
オラリドゥが崩れゆく。
「本当に……お主は、アンデッドに対しては敵無しなのじゃな」
良く知ってるね。
「凄いですホダカ……流石です……でも」
エメラルドが可愛らしく小首を傾げ、
「どうして、オラリドゥの正体が分かったのですか?」
「魂の輝き……かな」
言えない。
マップスキルを強化した結果、マップ上に、災厄マーカーで表示され、噴き出しで名前まで出ていたなんて。
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