第36話 悲しい……

<称号『時間を止めれば良いじゃない』を獲得しました[1]>


普通は止められねえよ。


<称号『なら、死ぬのをやめれば良い。どうしてそこまでして、人は死のうとするの?悲しい……』を獲得しました[1]>


魔王は人じゃないし、今のは望んで死んだんじゃないと思う。


「ホダカ!いったい何が……?」


エメラルドが、目を見開き問う。


システムが時間を止めている間に、[全調合レシピ辞典]を使用し、封印の神水・改を調合、元グネディアのダークロードに飲ませ、時間停止を解除させました。


うん、言葉にすると長いな。

誤魔化すか。


「エメラルド、もう大丈夫だよ。言っただろ?お前は俺が護る、と。ダークロードが因果律に抗うなら……それを上回る因果で縛ってやれば良い」


「……因果律の組み換え……神託に出てくるあれですね!」


どれだよ。


<称号『さあ?』を獲得しました[1]>

<称号『何を言ってるんですかね、この娘は』を獲得しました[1]>


「ダークロードは滅びた。君の七賢者としての使命は終わった。君は、どうしたい?」


「私は……世界を救いたい……他の災厄も全て消滅させ……ずっと笑って暮らせる、そんな世界にしたいです」


……性悪神の作った、絶望的な滅びを内包する世界。

その再生……


きっと、その功績を誰かに話す訳にはいかない。

きっと、みんなからは、悪の王女として恨まれ続ける。

それでも……前に進むんだな。


「既に神託により、活動が分かっている災厄……死の導師オラリドゥ、死幻蝶ヴネディア。まだ活動は不明ですが、召喚死パイロ、永遠の幻ドゥーアー、無尽の虚無ファルサ、無力なる弱者ルシファー……」


おい、最後。

無力とか弱者とか絶対嘘だろ。


「ルシファーはともかく、他の災厄はどれも最悪……できれば復活前に……そうでなくてもすみやかに……消滅させたい。せめて、再封印を……」


ルシファーが1番やばそうな件。


「死の導師オラリドゥは、隣国、死都オランディが対処法を伝えていました。王城に行けば、何か分かるかも知れません」


「脈は有りそうか?」


「いえ……正直、期待薄だとは思います。我が王家でも、文章化や、伝える仕掛けは作っておりませんでしたので」


……せいぜい、死期が迫っていると気づいていれば、あるいは……


「やはり、御神に祈願し、御言葉を賜るしか……」


おい、システム。


<称号『どしたん?』を獲得しました[1]>


神様と交信って、どうやれば良いんだ?


<称号『一般論ですが』を獲得しました[1]>


うん。


<称号『トラックに引かれて転生する時に会える事が多いですね』を獲得しました[1]>


この世界、トラック無いし。

この世界で話したいから、その手は却下。


<称号『ちと待つ』を獲得しました[1]>

<称号『検索します』を獲得しました[1]>


ああ、アカシックレコードとかそういう。


<称号『いえ、書いて読んで小説家になりましょう、という名前のサイトですね』を獲得しました[1]>


小説投稿サイトじゃねえか。

創作を参考にすんな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る